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介護のための二世帯住宅リフォーム。家族が笑顔で暮らす家づくり

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親の介護を見据えた二世帯住宅へのリフォームを考えているものの、具体的にどのようなリフォームをすればよいのか分からない方もいるでしょう。二世帯住宅にするタイミングや、間取りよっても変わるリフォーム内容。建築物と設備、それぞれに介護をするために必要なリフォームがあります。本記事では、具体的なリフォーム内容や費用を抑えるための制度をご紹介します。ストレスやトラブルも起こりやすい二世帯住宅での同居でも、家族みんなが快適に暮らせる介護リフォームを実現させましょう。

二世帯住宅で介護をするためのバリアフリー化とは?  

二世帯住宅をはじめるタイミングによっては、大掛かりな介護設備は必要ないかもしれません。しかし親が年齢を重ねても快適に暮らし、子世帯もサポートをよりしやすい状態にするためには、バリアフリーを意識した設計が必要です。

そもそもバリアフリー化とは

介護を見据えたリフォームでは、バリアフリーを考えた設計をします。「バリアフリー(barrier free)」とは、高齢の方やからだに障害のある方が社会生活を営むうえで感じる「日常生活における物理的な障害や精神的な障壁」を取り除くための施策や取り除いたものや状態をいいます。近い言葉に「ユニバーサルデザイン(Universal Design)」があります。これは、建築・建造物に限らず、文化・言語・国籍の違い・年齢性別・障害の有無などの違いがあっても利用できる施設・製品・情報のデザインを指しています。現在は明確な線引きをせずに、どちらの言葉も使われているケースもみられます。

二世帯住宅にするタイミング

ニ世帯住宅を検討するタイミングは、人それぞれです。子どもが生まれたとき、子どもが小学生にあがるとき、子どもが独立したときなど、子世帯の子どものライフステージにあわせて考えるケースが多いかもしれません。どのタイミングでも高齢化していく親世帯の安全・快適な暮らしを考えて、バリアフリー化など将来的に介護が必要になっても生活しやすい設計を計画することが大切です。

二世帯住宅の間取りタイプは?

二世帯住宅には、次の3つのタイプがあります。

  • 完全同居型:玄関・設備すべてを共有
  • 部分共有型:玄関と一部の設備を共有
  • 完全分離型:玄関も設備もすべて別にする

子どもが小さいうちは、生活時間帯の違いやそれぞれの生活を大切にするライフスタイルを重視して、部分共有型・完全分離型の二世帯住宅を選ぶ方が多いでしょう。しかし子どもが独立したあとに、高齢の親といっしょに暮らす二世帯住宅では、子世帯の住宅を介護がしやすいようにリフォームして同居するパターンもあります。この場合は、完全同居型となり、LDKや水回り設備も共有することになります。

建物に関わる介護リフォーム 6つのポイント 

介護リフォームで、建物自体の工事が必要なことや気をつけておきたいポイントについて解説します。

ポイント1.床に段差のない仕様

バリアフリーと聞くと多くの人がイメージするものに、床の段差をなくすことが挙げられるのではないでしょうか。古い日本家屋は通路と居室の境に敷居があり、多くの場合は数cmの段差が発生します。とくに廊下や洋室から、和室に入るときに高くなっているケースがよくみられます。このような段差は、足の筋力が弱くなった高齢者がつまずく原因になります。そこで、この段差をなくすために、低くなっている床を高くするリフォームが必要です。

ポイント2.床の素材

介護を考えるときの床には、次のような素材が向いています。

  • 滑りにくい
  • 車いすでも傷がつきにくい
  • 転んだときにケガをしにくい

木製フローリングは滑りやすい素材ですが、なかには滑り止め加工が施されたものもあります。またワックスやコーティング剤で、滑りにくくしてもよいでしょう。クッション性・断熱性のよいコルクや毛足の短いカーペットも向いています。クッションフロアもやわらかい踏み心地で、負担がかかりにくい素材です。水に強く清掃性が高いので、水回りなどによく使われています。コルクやクッションフロアは、車いすのタイヤでも傷がつきにくい表面強度のあるタイプを選びましょう。

ポイント3.扉の形状

できれば室内扉は、軽い力で動かせる引き戸にするとよいでしょう。また、引き戸なら開口幅がドアに比べると広く取れるため、車いすの利用や介護しながらの移動もしやすくなります。ソフトクローズ機能がついている引き戸は、閉まりきる少し前に戸の動きが緩やかになります。からだの動きがにぶくなる高齢者の指を挟む事故が、起きにくいでしょう。また勢いよく閉めても跳ね返らないため安全ですし、衝撃音をおさえられるのでバリアフリー住宅で採用したい機能です。

ポイント4.玄関

階段の昇降は、車いすでの移動が困難なだけでなく、徒歩でも高齢者には負担が大きくなります。玄関の外に階段があるときは、たとえ2・3段でも負担を軽減させるためにスロープをつけて、のぼりやすくしましょう。内玄関の上がり框高さにも注意が必要です。段差を少なくするために、低い上がり框になっている住宅も増えてきました。古い住宅では、30cm以上の高さの場合があります。足踏み台を置くなどして、1段を低くする工夫をしてください。また逆に上がり框が低いと、くつを脱いだり履いたりする際に立ち上がりがつらいケースもあるでしょう。外出から帰ってくると、疲れて部屋に上がる前に少し休みたいと感じる方もいます。玄関にスツールやベンチを置いて、腰掛けられるようにしてください。

ポイント5.車いすが使える広さ

からだの状態によっては、車いすを利用することもあるでしょう。室内でも車いすが使えるような広さを確保してください。室内の通路幅を広げる工事は大がかりになるため、生活動線から必要な場所を検討しましょう。ちなみに、介助用の車いすの幅は53cmから57cm、自走用車いすの幅は62cmから63cmほどです。室内ではどれくらいのスペースが必要か、自走用車いすを目安に考えると次のとおりです。

  • 直進する場合:78cm以上 
  • 方向転換・直角に曲がる場合:85cmから90cm
  • 方向転換・360度回転する場合:1m50cm×1m50cm

洗面室やトイレなどは車いすで入れるだけでなく、介助者が動きやすいスペースも必要です。設計の専門家に相談しながら、適切な広さを取れるように計画してください。

ポイント6.寝室の位置

寝たきり、ベッドで過ごす時間が増えるケースを想定して、親の寝室の場所を決めてください。日中、光が入り庭などの景色が眺められるような場所が好まれます。また介護の外部サービスを利用する際に出入りしやすい、玄関やガレージの近くもおすすめです。トイレや洗面とのアクセスのよさも重要なポイントで、専用のトイレを寝室の隣あるいは室内に設けてもよいかもしれません。二世帯住宅で子世帯を2階にする場合は、足音が響かない・トイレやお風呂の排水音が響かないような場所に寝室を持ってくるようにしてください。

設備・性能に関わる介護リフォーム 

建物本体に付帯する設備をバリアフリー化するには、どのようなリフォーム工事が必要でしょうか?また部屋の寒暖差など、高齢者にとって大きな負担になる住宅性能についても考えてみたいと思います。

手すりをつける

立ち上がりや歩行を助けるための手すりは、手足の力が弱くなる高齢者にとって、大きなサポートになるでしょう。介護のリフォーム工事では、いちばんに手すりの設置を検討する方が多いのではないでしょうか。手すりにはかなり大きな力がかかるため、頑丈に固定されていなければいけません。そのため手すりをとめるビスを打つ場所には、下地補強が必要です。一般的に取り付ける高さは70から80cm程度といわれています。しかし使う人の身長や使い勝手にあわせた高さに設定してください。もともと下地が入っていない場合は、壁を一部分はがして補強を加えたうえで手すりを設置します。

手すりがつくとその分通路幅が狭くなります。車いすの利用も考えられる場合は、通れる広さかどうかを加味して取り付けを検討してください。また手すり自体の太さや形状も、しっかりと考えなければいけません。つかむ力の弱くなる高齢者にとっては、握る形状ではなく手を置いて滑らせるように天板が平らになっているタイプにしてもよいでしょう。継ぎ目部分に袖を引っかけないように、コーナー用の手すりを組み合わせる配慮も必要です。

車いすでも使える設備

洗面台やキッチンは、作業スペース下に収納があるものが一般的です。しかしその収納を取り払い、車いすを入れられる仕様になっている設備もあります。車いすを使わなくても、長時間のキッチン作業などがつらいと感じる方もいるでしょう。椅子に座ったままでも作業ができる設備があれば、負担を軽くできます。できるだけ自分の力で作業ができると、年齢を重ねても自信を持てますし、健康な状態をキープできるのではないでしょうか。「立っているのがつらいから」という理由で、自立した生活をあきらめてしまうのはもったいないですよね。このように自分で活動するためのサポートも、介護リフォームに大切なポイントです。

エレベーター

敷地の都合で1階をガレージにしなければならないなど、場合によっては2階以上に親世帯の居室を設けるケースもあるかもしれません。あるいは、食事は2階の子世帯でいっしょに食べるなど、上階への行き来がある家庭もあるでしょう。そのようなときは、階段の昇り降りはからだへの負担が大きいため、ホームエレベーターの設置も検討してみてはいかがでしょうか。

断熱性能

高齢者にとって、室内の寒暖差は命の危険にかかわる問題です。「国土交通省補助事業 スマートウェルネス住宅推進調査委員会」の調査では、寒冷住宅が高血圧・動脈硬化・循環器疾患に影響があるとしています。また断熱住宅が普及すると、それらの疾病や介護の予防につながるともいわれています。例えば空間工房LOHASで採用しているOMソーラーは、屋根で温めた空気を床下に送り家中に循環させ、室内の寒暖差をなくすことができます。このように冬でも寒くない家づくりも、介護を考えるうえで重要なポイントになるでしょう。

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バリアフリー化をサポートする制度 

ここまで、介護を視野にいれたリフォームに必要な工事項目などをみてきました。現在の住まいの状態や、どの程度工事をするかによって変わりますが、いずれにしても大きな費用がかかります。家族が暮らしやすい家づくりをするためにも、必要な工事はすべて行いたいものの、費用はできるだけ抑えたいのが本音ではないでしょうか。そこで利用したいのが、国や自治体によるサポート制度です。ここでは一例をご紹介したいと思います。

長期優良住宅リフォーム推進事業

長期優良住宅とは、2009年6月にスタートした制度です。産業廃棄物やCO2の削減・森林保護による環境対策を目的とし、国民の経済負担を軽減させるための補助金やローン控除などの施策もあります。リフォームに関する事業としては「長期優良住宅リフォーム推進事業」があり、既存住宅の長寿命化や省エネ化をおこなう性能向上リフォームなどに支援を行う事業です。申請は施主ではなく、あらかじめ事業者登録済みの施工業者が行うため、リフォームを検討しているときは、依頼業者に問いあわせてください。

【参考】長期優良住宅化リフォーム事業

※注:令和4年度の受付は終了しており、来年度に同様の募集があるかは記事公開時点では分かっておりません。

介護保険

「介護保険」とは、2000年に本格的に始まった「高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組み」です。要支援・要介護と認定された方の暮らす家で、バリアフリーリフォームをする際に、工事費用の一部を補助されます。また家づくりには直接関りがなくても、外部の介護支援サービスを受けられるなどのサポート制度があります。まずは自治体で手続きをして、受給要件にあうかどうか審査を受けてください。認定されると、自己負担を減らして介護サービスを受けられます。二世帯住宅でも、保険受給の対象になりますが、一部のサービスが対象外になる可能性があるのでご注意ください。また受給要件などは改定されるケースも多いため、必要なときにはホームページで確認する、あるいは自治体に問い合わせるようにしてください。

【参考】厚生労働省「介護保険制度の概要」)

富士市の補助金・減税について

空間工房LOHASのある静岡県富士市にも、バリアフリーリフォームの減額支援サポートがあります。

  • 住宅のバリアフリー改修に対する減額(記事公開時点)

一定の要件を満たせば、一定期間家屋に対する固定資産税が減額される制度です。トイレの改良や手すりの設置などの改修工事で補助金などを除く自己負担が50万円を超える際に適用されます。(参考:富士市

  • 富士市多世代同居・近居支援奨励金(記事公開時点)

「子育て世代の負担軽減及び高齢者の安全・安心な暮らしの確保を図るため、多世代で新たに同居・近居するための住宅取得又はリフォーム工事に対し、補助を行っています。※「新たに同居・近居」とは:現に同居・近居のいずれもしていない状態から同居・近居することをいいます。」(引用:富士市

  • 市民温暖化対策事業費補助金(記事公開時点)

二世帯住宅に限らず、省エネルギー住宅(断熱窓)への改修、蓄エネルギー設備(蓄電池・V2H)の導入にたいする補助金制度です。(参考:富士市)

二世帯住宅で快適な介護リフォームを実現させましょう

介護を考えた二世帯住宅では、介護を受ける側も行う側もできるだけストレスを減らすための工夫が必要です。また助け合いは大切ですが、できるだけ自立した生活が送れるようなサポートを考えることが大切なポイントになるでしょう。家族みんなが笑顔で暮らすために、快適な家づくりを目指してくださいね。空間工房LOHASでは、介護のための家づくり相談も承っています。難しい費用面の悩みも丁寧にサポートしますので、富士山周辺の車で1時間圏内での家づくりをお考えの方は、空間工房LOHASへお気軽にご相談ください。

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