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パッシブハウスの基準を知ろう!HEAT20・ZEH・高気密高断熱住宅の違いを徹底解説

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世界規模で対策が行われている地球温暖化問題は、工業化が進んだことで起こるエネルギー資源の不足や化石燃料を消費することで発生する二酸化炭素の増加によるものです。

住宅業界でも低炭素化に向けた動きが近年ますます厳しくなっていますが、さまざまな基準があり、消費者にとって何を基準にしたら良いのかわからなくなっている人も多いのではないでしょうか。

そこで、今回の記事では日本の省エネ住宅の基準となるさまざまな制度について、比較しやすいかたちでわかりやすく解説したいと思います。

 

この記事でわかること

・日本の省エネ住宅のさまざまな基準がわかる

・今後の日本の省エネ住宅のあるべき姿がわかる

・新築を検討している人にとって、どの基準値で建てれば良いのかわかる

 

省エネ住宅の基本について

ガレージのある住宅

まずは、省エネ住宅の基本から解説します。基本を学ぶことでこの先の住宅性能を深く知ることができます。

 

住宅性能の基準は省エネ法

住宅性能の基準値は省エネ法が元となっています。省エネ法の概念として、以下の3つの考え方で構成されています。

1、生活するために必要なエネルギーを少なくする

2、住宅の性能を上げ、少ないエネルギーで生活できるようにする

3、自然のエネルギーを活用し、必要なエネルギーを賄う

 

1については、省エネ設備や電化製品、冷暖房などの消費エネルギーを指します。

2については、住宅本来の性能を上げて、冷暖房効率や消費エネルギーを下げることを指します。

3については、創エネと呼ばれ、太陽光発電やエネファーム、蓄電池などを指します。

 

住宅性能の基準としての断熱性能

ZEHやHEAT20など様々な基準のもとになっているのが省エネ法による、平成28年省エネ基準になります。住宅性能の高い家を判断するために「断熱性能」を基準とし、日本を8つの地域に分けることで、それぞれの地域ごとの断熱基準を設けました。従来の断熱基準に設備の一次エネルギー消費量基準を追加したもので、住宅全体の省エネ性能を評価する指標として明確化されたのが、平成28年省エネ基準となります。

 

省エネ住宅の様々な基準

ナチュラルテイストのダイニングキッチン

平成28年省エネ基準を発端に、時代に応じた要件が加わることでアップデートした基準が多く存在しています。そこでわかりにくい様々な基準について解説していきます。

 

平成28年省エネ基準

住宅の省エネ性能評価が現在に通ずる基準となるものに整備されました。性能基準と使用基準にわかれ、それぞれに「外皮性能の基準」と「一次エネルギー消費量の基準」が定められています。

 

外皮性能の基準

一次エネルギー消費量の基準

性能基準

・外皮平均熱貫流率UA値の基準

・冷房期の平均日射熱取得率ηAC値の基準

・暖冷房・換気・照明・給湯・エネルギー利用効率化設備

仕様基準

・躯体:U値またはR値

・開口部:U値および日射遮蔽仕様

・設備の仕様

 

外皮性能基準とは・・・

 

【外皮平均熱貫流率UA値】

屋外にどのくらいの熱が移動するかを表す指標を熱貫流率と言います。

外皮平均熱貫流率とは、住宅から外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値になります。壁や床、天井、開口部などからの熱損失の合計を外皮表面積で除した値となります。数値が低いほど断熱性能が高い住宅となります。

地域区分

1

2

3

4

5

6

7

8

外皮平均熱貫流率(UA値)

0.46

0.56

0.75

0.87

 

【冷房期の平均日射熱取得率ηAC値】

住宅に日射がどのくらい入ってくるかを表したものが日射熱取得率です。平均日射熱取得率とは、入射する日射量に対する室内に侵入する日射熱の割合を外皮全体で平均した値をいいます。屋根または天井、外壁、ドアなどの躯体から侵入する日射量と窓ガラスから侵入する日射熱の合計である総日射量を外皮面積で除した値です。数値が大きいほど、日射熱が侵入しやすい住宅です。

地域区分

1

2

3

4

5

6

7

8

冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)

基準値なし

3.0

2.8

2.7

6.7

 

【地域区分】

日本全国を8地域にわけ、それぞれの地域に該当する外皮平均熱貫流率UA値と冷房期の平均日射熱取得率ηAC値の数値の基準を定めています。令和3年4月1日の新地域区分が最新版であり、気候変動の影響でこの先も地域区分は変動的になると予測されます。

参考:国土交通省|地域区分の見直し

熱に関する地域区分

地域区分

都道府県名

1、2

北海道

3

青森県、岩手県、秋田県

4

宮城県、山形県、福島県、栃木県、新潟県、長野県

5、6

茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、富山県、石川県、福井県、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県

7

宮崎県、鹿児島県

8

沖縄県

 

1地域と2地域、また5地域と6地域の市町村区分は下記の告示等で確認ください。

参考:国土交通省|地域区分新旧表

 

高気密高断熱住宅

高気密高断熱住宅は、明確な数値基準は特に定められていません。考え方として、「隙間を極力なくし、断熱性能を高めることで外気温の影響を受けにくくする住宅」となります。ちょうど魔法瓶のように、温度を一定に保つ性能が高い住宅と言えます。

高断熱高気密の住宅のイメージとしては「冬でも暖かい家」「一年中過ごしやすい家」「省エネ住宅」などがありますが、一方で「結露が多い」「息苦しい家」などのネガティブなイメージも言われています。高気密高断熱は住宅性能向上の一つにすぎず、合わせて換気や通風なども検討する必要があります。

ネガティブなイメージは高気密高断熱だけで快適な住宅になるという迷信からきているところがあるので、正しい知識をもつことが重要です。

 

高気密高断熱住宅について詳しくはこちらの記事が参考になります

参考記事:高気密・高断熱は必要なの?メリット・デメリットを富士市の工務店が解説します

 

認定低炭素住宅

低炭素住宅とは、2012年に施行された「都市の低炭素化の促進に関する法律」(エコまち法)に基づいて創設されたもので、以下の要項を満たす必要があります。

1、省エネルギー基準を超える省エネルギー性能を備えていること、かつ低炭素化促進のための対策が取られていること

2、都市の低炭素化促進のための基本方針に照らし合わせて適切であること

3、資金計画が適切であること

住宅性能としては、「省エネルギー基準を超える省エネルギー性能」としており、202〇年に義務化された一般住宅の省エネ基準より10%ほど性能が高いものになります。(;>ZEH)

認定炭素住宅に認定されると、省エネ住宅のメリットだけでなく各税制優遇や住宅ローン金利の優遇、容積率の緩和などのメリットがあります。

 

長期優良住宅

認定低炭素住宅と似ている制度で長期優良住宅制度があります。長期にわたり良好な状態で使用するための優良な住宅を認定する制度となり、住宅性能に関しては認定低炭素住宅とほぼ変わりません。

しかし、評価基準の幅は広く、「劣化対策」「バリアフリー性」「耐震性」「維持管理・更新の容易性」など、より長く住むために必要な機能や性質も条件として課されます。

長期優良住宅によるメリットも認定低炭素住宅とほぼ同じで、各税制優遇や住宅ローン金利の優遇などがあります。

 

ZEH

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」です。

断熱 ZEH基準対応表

地域区分

1

2

3

4

5

6

7

8

外皮平均熱貫流率(UA値)

0.4

0.5

0.6

冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)

基準なし

3.0

2.8

2.7

6.7

 

HEAT20

「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」により、世界水準の省エネルギーと室内温熱環境性能の向上を目指すものが、通称HEAT20になります。

基準のグレードによりG1、G2、G3が設定されています。

新たな外皮性能基準

出典元:2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会

 

パッシブハウス

弊社ロハスが推奨するパッシブハウスは、日本の省エネ住宅の中でも最高峰の住宅性能を有します。世界基準の省エネ住宅であるパッシブハウスは環境先進国であるドイツで誕生した世界基準の省エネ住宅になります。

パッシブハウスは以下の3つの基準をクリアした住宅になります。

・冷暖房負荷が各15kwh/m2以下 

・一次エネルギー消費量が120kwh/m2以下 

・気密性能として50Paの加圧時の漏気回数0.6回以下

 断熱性能だけで例えると、HEAT20が推奨する断熱基準で最高レベルのG2〜G3よりも上の基準に相当します。  

 

パッシブハウスについて詳しくはこちらの記事が参考になります

参考記事:パッシブハウスとは?パッシブデザインとの違いやメリット・デメリットを富士市の工務店が解説

 

まとめ:省エネ基準の性能ランキング

省エネ住宅の様々な基準や制度について解説してきました。結局のところ何が一番いいの?という回答を下のピラミッド表でわかりやすくしました。

弊社のある静岡県富士市は地域6に該当するので、その基準数値を掲載します。新築住宅をご検討の方はぜひ参考にしてみてください。

パッシブハウスの基準

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