二世帯住宅では、暮らす世帯は大体親世帯と子世帯が主ですが、三世帯となるとその組み合わせはさまざまです。
ここが二世帯とは大きく異なるところで、二世帯では共有できていた空間も、三世帯の組み合わせによっては共有スペースを確保するのが難しくなります。
三世帯住宅の場合はプライバシーの配慮などを考慮して、むしろ完全分離型でプランニングした方がどの世帯も落ち着いて暮らせるでしょう。
ここでは三世帯住宅のメリットとデメリットを含めて、どう暮らすのがベストなのか考えていきます。
Contents
三世帯住宅とは?二世帯にプラス一世帯、どんな組み合わせがある?
祖父母世帯+親世帯+子世帯
祖父母世帯に親世帯、子世帯が一緒に暮らす組み合わせです。
現在は長寿化も進んでいるため、祖父母世帯との三世帯住宅は最も一般的とも言えます。
この組み合わせの場合は、水回りスペースなどは分離しつつ、一部を共有スペースとして祖父母世帯に集まれるようなプランにしておくと、介護が必要な場合は親世帯も子世帯も手伝いやすくなります。
また子世帯の夫婦も育児などの協力も得やすくなります。
親世帯+叔父世帯(叔母世帯)+子世帯
親世帯に親の兄弟もしくは姉妹の家族と子世帯が暮らすケースです。
親世帯と子世帯に叔父さん、叔母さん家族も一緒という暮らしです。
この場合は親子だけではないので、プライバシーの配慮が一番のポイントになるでしょう。
もちろん玄関も別で、何かイベントがあるときは、親世帯に3家族が集まれる広さのスペースをプランしておくと良いでしょう。
8畳程度の和室があると、客間にもなるし、3家族が集まっても窮屈感はありません。
何故親世帯かというと、子世帯はもう独立していますから、親世帯のフロアには子ども部屋などは必要無く、十分なスペースがあるからです。
夫の親世帯+妻の親世帯+子世帯
夫の親世帯と妻の親世帯、そして子世帯での暮らしです。少子化の現在では、この暮らしも十分に考えられ、今後増えていくかもしれません。
この場合も完全分離型のプランにして、それぞれの家族がプライバシーを守れるように配慮しましょう。
また、親の世代は高齢になっていくため、完全分離型のプラニングでバリアフリーにするなど、やはり年齢も考慮して考えておくことが大切です。
親世帯+子世帯(長兄)+子世帯(次男)
こちらは親世帯に兄弟または姉妹の家族が暮らす組み合わせです。
親子での暮らしですから遠慮は無用?というワケには行きません。
やはり子世帯の旦那さまや奥さまなどは他人になりますので、あまり親子で仲良くしていると疎外感が生まれるかもしれません。
そこでこの組み合わせでも完全分離型にして、たまに3家族が集まったり、親世帯に育児のサポートをしてもらうときは夫婦で話をしたり、面倒を見てもらったり、親世帯との関わり方は夫婦単位で行うのが良いでしょう。
三世帯住宅のメリット
建築費の負担が安く済む
三世代住宅のメリットで最も大きいのは、一戸建てを3軒建てるより建築費が安く済むことです。
仮に大きな家でも、基礎や外壁などが1軒で済む方が割安となり、しかも完全分離型だとそれぞれの家族が暮らしやすく、二世帯住宅同様、マンションや一戸建て感覚で暮らすことが可能です。
介護や育児を協力しやすい
三世代住宅にもなると、祖父母や親世代の介護などが必要になる場合もあります。
そんな場合でも、三世代住宅であれば協力をしやすく、介護の予定も各家族で話し合い予定を組みやすくなります。
また、子世帯が仮に共働きで小さなお子さんがいるときも、そのお子さんを他の世帯に面倒を見て貰うなどのサポートを受けることもできます。
大家族ならではの協力、サポートがあるのは大きな安心にも繋がります。
大勢での楽しみ方ができる
小さなお子さんの季節のイベントや祖父母の喜寿のお祝いなど、節目節目のイベントを3家族でお祝いをすることができます。
遠くから駆け付ける訳でもなく、「ちょっとお隣へ」という感覚で行けますので、こうした集まりは楽しみやすいですね。
また、お花見やお子さんの運動会なども一緒に行けるため、自分たちの暮らしにはなかった潤いが増えていくでしょう。
「小規模宅地の特例」が適用されて、相続税が大幅に減額される可能性も
二世帯住宅や三世帯住宅などの多世帯住宅に親子や祖父母などの親族で住む場合は、「小規模宅地の特例」が適用されて、相続税が大幅に減額される可能性があります。
これも大きなメリットですね。
ただし、このような優遇措置を受けるためには、自治体や建築会社の担当者などに早めに相談することです。
この優遇措置を受けるには複雑なルールなどもありますので、事前に必ず確認をしてください。
三世帯住宅のデメリット
プライバシーの問題があること
仮に玄関を分けて完全分離型の家にしても、祖父母や親が子世帯へ玄関を開けて入るなど、プライバシーが「孫や親子」ということで、遠慮が無くなってしまうこともあります。
こんな時は、親族では無い旦那さまや奥さまは決して楽しいことではありません。
親の世代は玄関にも鍵を掛けずに隣近所に行き来をしていたかもしれませんが、今はそんな時代ではないことをきっちりと話し、ルールを決めておくことが大切です。
家族構成の変化によって、一家族分空くことも
家族構成の変化によって、1家族分すっかり空いてしまうケースも考えておかないといけないでしょう。
そうなると、そこがまったく人のいないフロアまたは空間になってしまいます。
こうしたケースを最初から考えておき、空いた場合は賃貸にできるようなプランニングで三世帯住宅を建てておくことです。
中途半端に共有スペースがあると、そこを他家族に貸すことは難しくなりますので気を付けましょう。
世帯数が多すぎて、家が大きく売却しにくい
三世代住宅の家ともなると、売却しにくいというデメリットもあります。
同じように三世代で暮らしたい人たちに売却したいものですが、なかなか見つからないかもしれません。
家族数が減って、空きのフロアが出た場合はやはり貸すのが一番現実的でしょう。
そのためにも完全分離型3軒のプランを最初から考えておきましょう。
完全分離型の三世代住宅、どんな建て方が良い?
プライバシーへの配慮が大切
玄関もすべて別にした完全分離型の住まいが理想的です。
そうすることでプライバシーも守られ、そして身内がすぐそばにいる安心感も得られます。
そこで一同が集まることができる共有スペースを親世帯の空間にプランしておきましょう。
どの組み合わせにしても親世帯が中心になると思いますので、ここは親世帯にスペースを作りたいものです。
どんな建て方が良い?完全分離型が理想的
完全分離型を当然として、その建て方またはプランはどうするのが良いのでしょうか。ここでちょっとそのプランについて考えてみましょう。
この完全分離型にする場合は、水道代、電気代などの光熱費のメーターも分けて、各自負担するようにしておきます。
三世代が暮らす家。まず上に延びる3階建ての住宅と横に並べる住まいが考えられます。
3階建ての住宅にする場合は音に気を付ける
3階建て住宅にする場合は、その組み合わせにもよりますが、1階は一番年長者の家族にしましょう。
祖父母がいれば1階は祖父母のフロアです。そして2階には次の年長者のフロアとし、3階は子世帯、一番若い世帯のフロアにしましょう。
玄関はそれぞれ分けて、プライバシーが守られるようにプランします。
このタイプでは上下階の音の問題にも気を付けないといけません。
横に並べるテラスハウスのような場合は賃貸にもしやすい
これは3世帯ともに1.2階があるテラスハウスのようなプランです。
祖父母世帯では2階は使わないかもしれませんが、納戸代わりにしても良いでしょう。
この隣り合うことで庭を通じてコミュニケーションを持てたり、また行き来も便利です。
さらに一戸空いた場合は賃貸にしやすいのが、このプランです。
共有スペースもできれば欲しい
共有スペースは親世帯のフロアなどに集まりやすいスペースを作っておきましょう。
仮に住まいをコの字型にしてその中央にテラスを設けても良いのですが、3家族は集まりやすいものの、いざ家族構成が変わって賃貸に。というときにこのプランはおそらく好まれないでしょう。
共有スペースが欲しいときは先にもあげたように、親世帯のフロアに広めの和室などを設けておくことがベストです。
二世帯住宅以上・完全分離型の注文住宅事例
二世帯以上一緒に暮らす、焼杉の家 in 富士市
富士市田子浦港のほど近く。
動物が大好きなご家族が、お子さん世帯と親御さん世帯の他にお爺さまの代まで一緒に住むことのできる二世帯以上の暮らしに対応した家を建てました。
元々の家で使っていた古材を最大限活用した家作り。
海のそばでも何十年も駆逐しにくい天竜杉の焼杉の外壁。
1階リビングダイニングの壁には、腰の位置まで杉板が貼られ、まるで別荘のようなリラックス感があります。
杉板の腰壁が室内の魅力あふれるアクセントになっているダイニング・キッチン。
壁付きのキッチンには前面に窓があり、明るい陽ざしを感じながらキッチン作業も快適にできます。
杉板の腰壁と造作収納にはお気に入りのアイテムをディスプレイ。心地よいダイニングスペースです。
2階のリビング・ダイニング・キッチンはヴィンテージ感のあるステキな空間づくり。
施工事例はこちら→二世帯以上一緒に暮らす、焼杉の家 in 富士市
また、二世帯住宅について気になる方は以下のコラムも参考にしてみてください。
まとめ
今回は三世代住宅について考えてきましたが、少子化が進む現在では二世帯住宅はもちろんこの三世代住宅も増えていくと予測されます。
どの親族と暮らしていくにしても、やはり完全分離型で適度に距離を保ちながら、上手に暮らして行くのが良いでしょう。
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施工事例はこちら→パッシブハウスin静岡,富士宮市
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