長期優良住宅の新築を計画する際に「具体的にどのような認定条件があるのか」と疑問をもつ人は多いのではないでしょうか。
長期優良住宅の申請は認定条件や基準が細かく決まっているため、申請手続きに時間がかかります。
スムーズに進めるためにも、長期優良住宅の申請の流れや注意点を事前に押さえることが重要です。
今回の記事では長期優良住宅の認定条件や基準、申請する際の注意点もご紹介します。
長期優良住宅の条件や制度を詳しく知りたい場合は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 長期優良住宅の認定基準
- 長期優良住宅の認定条件
- 期優良住宅の申請方法のステップ
Contents
- 1 長期優良住宅の認定基準
- 2 長期優良住宅の認定条件
- 3 長期優良住宅の認定条件【新築住宅10のポイント】
- 3.1 ポイント1:【耐震性】地震発生時にも引き続き住み続けられる
- 3.2 ポイント2:【省エネルギー性】断熱性や気密性を高める
- 3.3 ポイント3:【劣化対策】建物構造によって劣化対策の基準がある
- 3.4 ポイント4:【住戸面積】居住水準を確保する広さにする
- 3.5 ポイント5:【居住環境】地域が定めた条例に沿った家づくりをする
- 3.6 ポイント6:【維持保全管理】定期的な点検や補修の計画を立てる
- 3.7 ポイント7:【可変性】ライフスタイルに合わせて間取りを柔軟に変更できる
- 3.8 ポイント8:【住居履歴情報の整備】住宅の図面や点検結果の記録を整備する
- 3.9 ポイント9:【バリアフリー性】将来に高齢者が移住する場合などに備える
- 3.10 ポイント10:【災害配慮】自然災害発生のリスクがある地域は対策をする
- 4 長期優良住宅の申請方法4つのステップ
- 5 長期優良住宅の認定に必要な申請書類
- 6 長期優良住宅の工事完了後の流れ
- 7 長期優良住宅を申請する際の注意点
- 8 まとめ|長期優良住宅の申請準備は早めに行いましょう
長期優良住宅の認定基準
長期優良住宅は「長期に渡り良好な状態で使用するための措置を講じられた優良な住宅」です。
長期優良住宅には認定基準があり、どれも住環境に大きな影響を与える項目となります。
長期に渡り良好な状態を保つためには、下記のような基準を満たす必要があります。
- 長期に使用するための構造および設備を有している
- 居住環境等への配慮をしている
- 一定面積以上の戸面積を有している
- 維持保全の期間や方法を定めている
- 自然災害への配慮を行っている
長期優良住宅の基準は長期的な維持・保全を前提として設けられています。
設計をする段階で、長期優良住宅の管理方法を決めていく必要があることを理解しておきましょう。
長期優良住宅の認定条件
長期優良住宅の認定基準を満たすためには、具体的な認定条件の指標が定められています。
長期優良住宅の認定条件を、詳しく見ていきましょう。
<長期優良住宅の認定条件>
項目 | 概要 | 認定条件 |
劣化対策 | 数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できることが条件です。 | 劣化対策等級3 木造、鉄骨造や 鉄筋コンクリート造の種類に応じた基準があります。 |
耐震性 | 極めてまれに発生する地震に対し、住宅の継続利用のための回収の容易性を図る必要があります。 | 耐震等級1以上 |
省エネルギー性 | 必要な断熱性能等、省エネルギー性能が確保されていることが必要です。 | 断熱等性能等級5かつ 一次エネルギー消費量等級6 |
維持管理・更新の容易性 | 構造躯体に比べて耐用年数が短い設備や配管について、維持管理を容易に行うために必要な措置を講じなければなりません。 | 維持管理対策等級3 (専用配管) |
可変性 | 居住者のライフスタイルの変化に応じて、間取りの変更が可能な措置が講じなければなりません。 | 共同住宅は、躯体天井高さが2,650mm以上と定められています。 |
バリアフリー性 | 共同住宅などは、将来のバリアフリー改修に対応できるよう、共用廊下などにスペースを確保する必要があります。 | 高齢者等配慮対策等級(共用部分)3 |
居住環境 | 良好な景観の形成その他の地域で、居住環境の維持や向上に配慮された住宅にしなければなりません。 | 地区計画、景観計画、条例による街並みなどの計画、建築協定、景観協定等の区域内にある場合には調和を図る必要があります。 |
維持保全計画 | 建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていなければなりません。 | 定められた設備や住居部分について定期的な点検、補修等に関する計画を策定しなければなりません。 |
災害配慮 | 自然災害による被害の発生の防止または軽減に、配慮する必要があります。 | 災害発生のリスクのある地域はリスクの高さに応じて、所管行政庁が定めた措置を講じなければなりません。 |
住戸面積 | 良好な居住水準を確保するために、必要な面積を有する必要があります。 | 一戸建ての住宅75㎡以上、 少なくとも一つのフロアの床面積が40㎡以上必要です。 |
長期優良住宅の認定条件【新築住宅10のポイント】
長期優良住宅の基準を満たすためには、具体的な認定条件があることがわかりました。
新築住宅を建てる際には、認定条件のポイントを押さえるとスムーズに設計ができます。
ここからは、長期優良住宅の新築を建てる際の認定条件のポイントをご紹介します。
ポイント1:【耐震性】地震発生時にも引き続き住み続けられる
長期優良住宅は地震の揺れに耐え、引き続き住み続けられる家にする必要があります。
長期優良住宅は地震の揺れに強い構造や工法にするように、設計します。
地震大国と言われる日本で安心して暮らすためにも、耐震性の確保は重要です。
ポイント2:【省エネルギー性】断熱性や気密性を高める
長期優良住宅は、省エネルギー性を確保することが条件です。
断熱性や気密性を高めることで外気の影響を受けにくく、暑さや寒い空気を室内に入れない環境を構築できます。
省エネルギー性の高い家は必要最低限の冷暖房で暮らせるため、光熱費の負担も少なくなります。
ポイント3:【劣化対策】建物構造によって劣化対策の基準がある
長期優良住宅は劣化対策をすることも、重要なポイントです。
建物構造の種類によって、下記の基準が設けられています。
建物構造 | 基準 |
木造 | 床下空間の有効高さ確保や床下、小屋裏の点検口設置などが必要 |
鉄骨造 | 木造の基準に加え柱、梁、筋かいに使用している鋼材の厚さ区分に応じた、防錆措置が必要 |
鉄筋コンクリート造 | 水セメント比を少なくするか、かぶり厚さを増す |
長期優良住宅は建物の躯体を頑丈にすることで、数世代にわたり居住できる家となります。
ポイント4:【住戸面積】居住水準を確保する広さにする
長期優良住宅は、良好な居住水準を保つ必要があります。
長期重量住宅の住戸面積は、戸建で75平方メートル以上が基準となり1階の床面積は40平方メートル以上にしなければなりません。
ただし、住戸面積は地域の実情に応じて引き上げや、引き下げができる場合もあります。
ポイント5:【居住環境】地域が定めた条例に沿った家づくりをする
長期優良住宅の居住環境は、地域が定めた条例などに沿った家づくりがされていることが条件です。
地域の定める基準は所轄行政庁によって異なるため、事前に確認が必要になります。
長期優良住宅は、街並みに調和する住宅であることが求められています。
ポイント6:【維持保全管理】定期的な点検や補修の計画を立てる
維持保全管理とは、住宅の定期的な点検や補修の計画を立てることです。
長期優良住宅の認定を受けるためには、維持保全計画を策定する必要があります。
維持保全管理は、下記の項目について計画しなければなりません。
- 住宅の構造躯体
- 屋根や外壁、開口部などの雨水の侵入を防止する部分
- 給水や排水のための設備
ポイント7:【可変性】ライフスタイルに合わせて間取りを柔軟に変更できる
長期優良住宅は長期に渡り良好な状態で暮らせる家であることから、可変性のある家づくりが求められます。
家族が増えたり、子供が独立したりとライフスタイルに合わせて間取りを柔軟に変更できるようにしましょう。
長期優良住宅の増築やリフォームをするには、所轄行政庁より計画変更の認定が必要です。
ポイント8:【住居履歴情報の整備】住宅の図面や点検結果の記録を整備する
住居履歴情報とは、住宅が「どのようなつくり」で「どのような性能があるか」「建築後にどのような点検、修繕、リフォームが実施されたか」などの記録を保存蓄積したものです。
具体的な記録としては新築時の図面や建築確認の書類、定期点検結果やリフォーム記録となります。
長期優良住宅では、住居履歴情報の整備も必要です。
ポイント9:【バリアフリー性】将来に高齢者が移住する場合などに備える
共同住宅で長期優良住宅の認定を受けるためには、バリアフリー性も重要なポイントです。
将来に高齢者が居住する場合に備えて、共用部分をバリアフリーにする条件が定められています。
バリアフリーは共用廊下の幅を広くすることや階段をゆるやかにする工夫、エレベーターの設置など高齢者の移動と介助のしやすさに配慮しましょう。
ポイント10:【災害配慮】自然災害発生のリスクがある地域は対策をする
長期優良住宅は自然災害発生のリスクがあるエリアでは、そのリスクの高さに応じて所轄行政庁が定めた措置を講じる必要があります。
災害配慮は、2022年の長期優良住宅の制度改定時に新設された基準です。
土砂災害、津波、洪水などの災害リスクが高いエリアでは、長期優良住宅の認定しないケースもあります。
長期優良住宅の災害配慮の詳細については、国が示す基本方針に沿って所轄行政庁が基準を作成し公表するようになっています。
長期優良住宅の申請方法4つのステップ
長期優良住宅の認定手続きは、4つのステップがあります。
長期優良住宅に認定されるためには所轄行政庁の審査を通る必要があり、数週間かかると言われています。
長期優良住宅の認定手続きをするには、早めの準備が大切です。
1:登録住宅性能評価機関へ確認申請を提出する
長期優良住宅認定手続きをするために、「建築予定の住宅が長期優良住宅の認定基準を満たしていること」を確認するため、登録住宅性能評価機関の技術的審査を受けます。
登録住宅性能評価機関の技術的審査を受けるためには、書類を準備し提出する必要があります。
住宅メーカーや工務店に相談し、早めの準備をしましょう。
2:登録住宅性能評価機関から確認書などの交付を受ける
登録住宅性能評価機関の審査で長期優良住宅の基準を満たしていると判断されると、確認書など(確認書または住宅性能評価書)が交付されます。
確認書などの交付を受けたら、次のステップで所轄行政庁に提出する書類を準備します。
3:所管行政庁に認定申請書を提出し適合審査を受ける
登録住宅性能評価機関から確認書などが交付されたら、所轄行政庁に認定申請書などの書類を提出し適合審査を受けます。
所轄行政庁には、必要書類を提出する必要があります。
提出書類は所轄行政庁によって異なるため、事前に電話などで必要書類を確認しておくと安心です。
4:所管行政庁から認定通知書の交付を受ける
所轄行政庁の適合検査に通過すると、長期優良住宅の認定通知書が交付され、着工可能になります。
長期優良住宅を建てる場合は、基本的には認定通知書の交付を受けた後に着工しなければなりません。
長期優良住宅の認定手続きは、一般的には施工会社や設計会社が行います。
長期優良住宅の認定に必要な申請書類
長期優良住宅の認定を受けるためには、登録住宅性能評価機関に提出する書類と、所轄行政庁に提出する書類を用意する必要があります。
手続きの方法や必要な書類は自治体や建物の種類により異なるため、施工会社や提出機関に早めに確認しましょう。
<長期優良住宅の認定に必要な申請書類>
書類提出機関 | 必要な申請書類 |
登録住宅性能評価機関 | ・確認申請書 ・設計住宅性能評価申請書 ・添付図書 ・設計内容説明書 ・各種図面 ・計算書など |
所轄行政庁 | ・認定申請書 ・添付図書 ・確認書等 ・各種図面 ・所轄行政庁が必要と認める図書 |
長期優良住宅の工事完了後の流れ
長期優良住宅は工事完了後も、工事完了報告書や必要に応じて調査や記録を作成する必要があります。
ここからは、長期優良住宅の工事完了後の流れを解説します。
工事完了報告書の提出
長期優良住宅の工事が完了すると、所轄行政庁の担当部署に「工事完了報告書」を提出しなければなりません。
所轄行政庁によっては、郵送でも受け付けているため漏れの無いように提出しましょう。
工事完了報告書の提出の際には、工事写真の添付も必要です。
工事完了予定時期を過ぎても工事完了報告書を提出しない場合は、工事が適切に行われていないと見なされ改善命令の対象になります。
改善命令に違反した場合は、認定を取り消されることもあるので注意しましょう。
維持保全計画に基づく点検
長期優良住宅は、維持保全計画に基づく点検をしなければなりません。
長期優良住宅の維持保全期間は30年以上、住宅の点検時期の間隔は10年以内となります。
必要に応じて調査・修繕・改良
地震や台風により臨時に点検を実施する際は、点検の結果を踏まえて調査・修繕・改良をする必要があります。
長期優良住宅の劣化状況に応じて、維持保全計画の内容の見直しをする場合もあります。
また、長期優良住宅の認定計画に基づく住宅の建築や維持保全を取りやめることが可能です。
認定を取りやめる際は、取りやめ届出書を所轄行政庁に提出します。
記録の作成・保存
長期優良住宅の認定を受けた場合は建築や維持保全の状況について、記録を作成し保存する義務があります。
所轄行政庁から維持保全状況の報告を求められた際は、速やかに報告しなければなりません。
適切に維持保全管理や記録が保存されていない場合には、長期優良住宅の認定が取り消しとなるケースもあります。
長期優良住宅を申請する際の注意点
長期優良住宅を申請する際には、いくつかの注意点があります。
ここからは、長期優良住宅を申請する際の注意点を詳しく解説します。
1:長期優良住宅の設計変更やリフォームには再度申請が必要になる
長期優良住宅の設計変更や増築やリフォームする際は、再度申請が必要になります。
長期優良住宅の認定手続きは着工前に行うため、設計変更するケースもあります。
設計変更する際は、所轄行政庁へ所定の変更書類を提出しなければなりません。
建築後に増築やリフォームをする際は、認定時と家の状況が変わるため計画変更する必要があります。
長期優良住宅は認定後も必要な手続きを行うため、手間がかかることを注意しておきましょう。
2:長期優良住宅を売却・相続するときは地位の継承が必要になる
長期優良住宅は売却や相続する際に、家の購入者や相続人が所轄行政庁に「地位の継承」に関する手続きをしなければなりません。
所轄行政庁から地位の承継の承認を受けると、長期優良住宅の建築計画内容や維持保全管理計画などが引き継がれます。
長期優良住宅を売却や相続する場合は、長期優良住宅の認定を受けていることを引き継ぐ人に伝える必要があります。
3:実績のある施工会社に依頼する
長期優良住宅の認定を取得し建築するには、施工会社のサポートが重要になります。
長期優良住宅の認定手続きや施工など、専門的な知識も必要になるため、実績のある施工会社に依頼すると安心です。
施工会社を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
・長期優良住宅の施工実績が豊富であるか
・アフターサービスや保証は十分に用意されているか
・施工会社のコンセプトは希望の住宅に合っているか
・住宅の安全性や性能について専門的知識を持っているか
・営業、設計担当の人柄や提案力は十分であるか
長期優良住宅は申請手続きや必要書類の準備が複雑であるため、営業担当者が気軽に相談にのってくれるかどうかも重要です。
長期優良住宅を建てるなら実績のある空間工房LOHASへお気軽にご相談ください。
まとめ|長期優良住宅の申請準備は早めに行いましょう
長期優良住宅は高い耐震性や省エネルギー性を持ち合わせ、その家に住む人が長く安全に暮らせる優れた住宅です。
長期優良住宅に認定されると資産価値が落ちにくいため、売却の際も高く売れるメリットもあります。
長期優良住宅の申請手続きや維持管理には手間や時間はかかりますが、信頼のおける施工会社を選ぶことでスムーズにプランニングができます。
長期優良住宅に興味をお持ちの方は、今回の記事を参考に検討してみてください。
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著者情報
望月広巳
営業部部長。実際に家を建てる方が「暮らしを愉しむ」ために理想の暮らしをヒアリングしながら、個性やライフスタイルに合わせた設計の提案が得意です。自身でも普段の生活で日本酒やお料理、子育てを愉しむことを通してお客様に合ったプランをご提案できるように努めています。
空間工房LOHASでは静岡・富士山嶺の気候風土を生かし、富士ひのきや天然素材にこだわった高性能で自然環境や住まう人に優しい家創りをしている工務店です。
また、世界基準の省エネ住宅「パッシブハウス」の賛助会員工務店として、静岡県東部で初のパッシブハウス認定住宅も建築しております。
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