太陽光発電に興味はあるけれど、初期費用が高額で元が取れるまでの期間が気になる方へ。
太陽光発電は何年で元が取れるか確認するために、初期費用の見積りや回収のシミュレーションを十分に行っておくことが大切です。
この記事では、太陽光発電の費用回収期間の目安や、それに影響を与える要因を詳しく解説します。
また、費用回収を早めるための具体的な方法や、設置時に確認しておくべきポイントについてもご紹介します。
この記事でわかること
- 太陽光発電の費用回収期間は10年程度が目安
- 太陽光発電の費用回収を早める5つの方法
- 太陽光発電の設置時に確認しておくべきポイント
太陽光発電は何年で元が取れるのか

一般的に、太陽光発電システムの費用回収期間は10年程度が目安とされています。
ただし、近年では補助金制度の活用や、電気の自家消費率の増加によって、さらに短縮するケースも増えています。
以下では、初期費用の詳細や平均的な回収期間について解説します。
太陽光発電導入にかかる初期費用
太陽光発電システムの導入には、以下のような費用が発生します。
- 太陽光パネルの購入費用:性能やメーカーによって異なりますが、一般的な家庭用の太陽光パネルの本体価格は、1kWあたり平均25.5万円(税込)と想定されています。
- 設置工事費用:建物の構造や設置場所によって異なりますが、1kWあたり5万〜7万円程度で、一般的な家庭に導入される太陽光パネルは4.5kWであるため、20万円〜32万円程度かかる場合があります。
- 付帯設備の費用:パワーコンディショナーや配線工事費、モニタリングシステムの費用などを含め10万円〜30万円程度が目安です。
- その他の費用:設計費用や保証サービスの費用など、見落とされがちなコストも発生する可能性があります。
<参照>経済産業省:調達価格等算定委員会「令和6年度以降の調達価格等に関する意見(別紙1)」
太陽光発電初期費用の平均回収期間
太陽光発電の元が取れるのは、一般的に10年程度と言われています。
初期費用を回収するまでの期間は、以下のような要素によって左右されます。
- 電気料金の削減効果
- 売電収入
- 設置地域の日照条件
次の章で、費用回収期間に影響を与える具体的な要因について、詳しく解説していきます。
太陽光発電で早く元を取るために必要な5つの行動

太陽光発電の導入後、費用回収を早めるには、初期費用の削減だけでなく、効率的な運用や生活スタイルの見直しが欠かせません。
ここでは、太陽光発電の費用回収を早める5つの方法を紹介します。
補助金を活用する
残念ながら、2024年時点で国からの太陽光発電単体への補助金制度はありません。
しかし、各自治体からはさまざまな補助金制度が設置されています。
例えば、静岡県富士市では、「市民ゼロカーボンチャレンジ補助金」として、自己所有による太陽光発電システムの導入に関して補助金を交付します。
対象条件・補助金額は以下のとおりです。
- 発電電力の自家消費率30%を達成すること
- 固定価格買取制度(FIT)の認定又はFIP制度の認定を取得しないこと
- 1年間の毎月の発電・自家消費電力量を報告すること
- 導入容量1kWあたり73,000円(上限729,000円)
※補助条件の詳細については富士市の公式ウェブサイトをご覧ください。
事前に各自治体の情報を確認し、適用可能な制度を最大限活用しましょう。
太陽光発電の補助金に関してはこちらの記事で、詳しく確認できます。
>【2024年版】太陽光発電で使える補助金・助成金一覧|補助金額や申請条件を徹底解説
電気の自家消費を効率よく行う
太陽光発電で発電した電力の自家消費を効率よく行うことも大切です。
太陽光発電の電気を自家消費に使用すると、電力会社から電気を購入する料金を抑えられます。
たとえば、昼間に電力を多く消費する家電(洗濯機や食洗機など)を使用するようにスケジュールを調整するだけでも、自家消費率を向上できます。
家庭ごとの電力使用状況を把握し、効率的な活用を心がけましょう。
家庭用蓄電池を組み合わせる
家庭用蓄電池は、太陽光発電などで発電した電力を蓄えておけるシステムです。
蓄電池を併用することで、昼間に余った電力を夜間に利用できるようになります。
蓄電池を併用することで、電力を無駄なく活用し、自家消費率を高めることが可能です。
また、停電時のバックアップ電源としても利用でき、電力の安定供給を図れます。
ただし、家庭用蓄電池自体も高額であるため、収支のバランスを考えて導入を検討しましょう。
節電を意識して生活する
日頃から節電を意識して生活すると、太陽光発電の初期費用回収を早めるポイントです。
節約のポイントとしては、テレビのつけっぱなしや冷蔵庫の開閉回数、エアコンの設定温度を推奨温度より高く設定するなどがあります。
消費電力の高い家電製品を使用する場合は、短時間でも電気代金の負担が増えます。
小さな節電習慣の積み重ねが、大きな効果を生むことを忘れないようにしましょう。
電気料金プランを定期的に見直す
電力会社の電気料金プランを定期的に見直すことも大切です。
電力会社の電気料金プランは消費電力が少ない家庭向けや、消費電力が多い家庭向け、昼間家にいる時間が少ない家庭向けなど、ライフスタイルや電気使用量に合わせたプランが選べます。
家族が増えたり、ライフスタイルが変化したりといった出来事があると、現在使用している電気料金プランに合わなくなることも。
太陽光発電を導入した家庭向けのプランもあるため、定期的に最新プランをチェックし、最適なものに切り替えましょう。
太陽光発電で元が取れたあとにする行動

太陽光発電で元が取れたあとにする行動として、以下をご紹介します。
引き続き売電を行い、収入を得る
太陽光発電の初期費用を回収した後も、発電した電力のうち使いきれなかった余剰電力を売電するのは、もっとも一般的な方法です。
この方法では、自宅での電力使用による電気代の削減に加え、売電による収入も継続して得られるという二重のメリットがあります。
固定価格買取制度(FIT)の期間が終了すると売電価格は大幅に下がりますが、それでも大手電力会社や新電力会社への売電は可能です。
ただし、売電単価は年々下がっているため、収益のみに依存するのではなく、電気を効率よく使い、自家消費率を高める工夫も必要です。
電力買取から全量自家消費へ切り替える
元を取ったあとに売電をやめ、発電した電力をすべて自家消費に回すという選択もあります。
現在、売電価格は下がる一方で、家庭の電気料金は上昇傾向にあるため、電力会社から購入する電気を減らすことで経済的に有利になる場合があります。
日中に発電した電力を夜間にも使うには、電力を蓄えておける蓄電池の導入が有効です。
蓄電池があれば、自家消費の幅が広がるだけでなく、災害時の非常用電源としても活用でき、安心感も得られるでしょう。
ただし、蓄電池の導入には数十万円以上の費用がかかることもあるため、初期投資と長期的な節約効果をよく比較した上で検討することが重要です。
太陽光発電の費用回収期間に影響を与える要因

太陽光発電の費用回収期間は、初期費用だけでなく、運用状況や環境条件に大きく左右されます。
ここでは、費用回収期間に影響を与える主な要因を詳しく解説します。
電力売電価格の推移
太陽光発電の余剰電力を電力会社に売ることで得られる収入は、費用回収の重要な要素です。
しかし、この売電価格は年々変動しています。
固定価格買取制度(FIT)の導入初期は高額な売電価格が設定されていましたが、現在では段階的に引き下げられています。
たとえば、2023年の住宅用太陽光発電の売電価格は1kWhあたり17円となっており、以前と比べて収益性が低下しています。
(例)売電価格17円/kWhの場合
1日の発電量が15kWhで、そのうち約8kWhを自家消費、残り7kWhが余剰電力として売電される場合、月間余剰電力は約210kWh(7kWh × 30日)となります。
これを元に以下のように計算します。
17円 × 300kWh = 月5,100円の売電収入
自家消費率の違い
自家消費率を高めることは、太陽光発電の費用回収を早める重要なポイントです。
発電した電力を自宅で直接使うことで電気代を削減でき、蓄電池を併用すれば昼間の電力を夜間に利用することも可能です。
これにより、無駄を減らしながら停電時の備えにもなり、初期費用は増えますが、長期的には費用回収期間の短縮につながります。
(例)月の電気使用量が400kWhの家庭が、200kWhを自家消費した場合
電気料金単価30円/kWh × 200kWh = 月6,000円の節約
設置場所と日照条件
設置場所や日照条件は、太陽光発電の費用回収期間に大きな影響を与えます。
日照時間が長い地域では発電量が増え回収期間が短縮される一方、日照時間が短い地域では、効率的な発電が求められます。
また、パネルの設置角度や向きも重要で、最適な条件で設置することで発電効率を最大化できます。
建物の影や周辺の高木、雪や落ち葉による影響を防ぐには、事前の環境調査や定期的な清掃が必要です。
太陽光発電の設置を検討している方は空間工房LOHASにご相談ください。
静岡県の日照条件も含めて、丁寧にご提案します。
太陽光発電の費用回収シミュレーション

具体例を用いてシミュレーションをします。
<一般的なシミュレーション(全国平均)>
- 設置容量:4.5kW
- 初期費用:150万円
- 自家消費率:40%(月間使用電力量の160kWhを自家消費)
- 売電価格:17円/kWh
- 月間発電量:450kWh
<計算例>
- 自家消費による電気代削減:160kWh × 30円 = 月4,800円
- 売電収入:290kWh × 17円 = 月4,930円
- 合計:月9,730円の収益
- 回収期間:150万円 ÷ 9,730円=約13年
費用回収期間は、地域の日照条件や自家消費率などにより変動します。
事前にシミュレーションを行い、ご家庭に最適な条件を見極めることが、太陽光発電を成功させる鍵といえるでしょう。
太陽光発電の設置時に確認しておきたい5つのポイント

太陽光発電の費用回収をスムーズにするには、設置時に確認しておきたいポイントがあります。
・初期費用を抑える
・メンテナンス費用などの維持費
・電気料金の推移
・再生可能エネルギー促進賦課金の上昇
・太陽光パネルの廃棄料金
それぞれのポイントについて、詳細を見ていきましょう
初期費用を抑える
太陽光発電の初期費用は、システムの規模や性能、メーカーによって大きく異なります。
一般的に、4.5kWシステムの設置費用は約100万〜150万円が相場ですが、複数の業者から見積もりを取ることで、適正価格を把握し、不要なコストを削減することが可能です。
太陽光発電の初期費用を抑える方法はこちらの記事でも確認できます。
>太陽光発電の設置費用は抑えられる?費用相場や少しでも早く元を取る方法を解説
メンテナンス費用などの維持費
太陽光発電は設置費用だけでなく、設備の管理費などの維持費がかかります。
<太陽光発電の維持費>
項目(平均価格) | 平均回数 |
---|---|
メンテナンス代(2万円~) | 4年に1回推奨 |
ソーラーパネル掃除(5千円〜) | 1年に1~2回 |
交換修理費(保証期間中は無料) | 故障時 |
上記の他に固定資産税や、パワーコンディショナーの電気代がかかる点も把握しておきましょう。
電気料金の推移
電気料金は将来的に変動する可能性が高く、太陽光発電のメリットに影響を与えることがあります。
電気料金が上昇すれば、自家消費によるコスト削減効果が大きくなりますが、逆に料金が下がると費用回収に時間がかかる可能性も。
太陽光発電を設置する際は、最新の電力市場の動向を把握し、適切なプランニングを行うことが重要です。
再生可能エネルギー促進賦課金の上昇
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」とは、再生可能エネルギーの固定買取制度によって電力の買取に要した費用を電気使用量に応じて、支払う料金です。
毎年、経済産業大臣によって定められ、基本的に毎月の電気料金と一緒に支払います。
2024年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金は、1kWあたり3.49円と発表されました。
月に400kWh使用する家庭では、月平均836円の負担が増えるとされています。
今後も再生可能エネルギー発電促進賦課金は値上がりする見込みなので、動向を定期的にチェックしましょう。
太陽光パネルの廃棄料金
太陽光パネルには耐用年数(通常20〜30年)があり、使用後には廃棄費用が発生します。
ソーラーパネルには有害物質が含まれている可能性があるため、産業廃棄物として適切に処理しなければなりません。
廃棄費用は設置時に見落とされがちですが、今後の環境規制や処分費用の変動によりコストが増加する可能性があります。
一部の業者では廃棄費用を含むプランを提供しているため、契約時に確認しておくことがおすすめです。
太陽光発電に関するよくある質問

太陽光発電に関するよくある質問として、以下をピックアップしました。
太陽光パネルの2030年問題とは?
太陽光パネルの2030年問題とは、2012年に始まった固定価格買取制度(FIT)によって急速に普及した太陽光パネルが、2030年代に寿命を迎えることで発生するさまざまな課題のことです。
一般的に太陽光パネルの寿命は20〜30年とされており、この時期に大量の使用済みパネルが廃棄対象となることが予想されています。
その量は年間50〜80万トンにものぼるとされ、処分体制が整っていなければ不法投棄の増加や、環境汚染の懸念も出てきます。
特にパネルに含まれる鉛などの有害物質が適切に処理されなければ、土壌汚染や健康被害につながる可能性もあるため、今後の課題として注目されています。
0円ソーラーとは?
0円ソーラーとは、住宅所有者が初期費用を負担せずに太陽光発電を導入できる仕組みのことです。
事業者が太陽光パネルやパワーコンディショナなどの設備を無償で設置し、発電された電力の一部を住宅で利用するかわりに、使用量に応じた電気料金やリース料を事業者に支払う契約となっています。
契約期間中は事業者が設備のメンテナンスや保証を担うため、所有者にとっては負担が少ない点がメリットです。
そして多くの場合、契約終了後は設置された設備が住宅所有者に無償で譲渡されるため、長期的に見れば自家消費分をすべて無料で利用できる可能性もあります。
導入のハードルを下げ、エコな暮らしを実現したい方にとっておすすめの選択肢です。
太陽光発電はやめた方がいいといわれるのはなぜ?
太陽光発電をやめた方がいいという意見がある背景には、いくつかの懸念点が存在します。
まず挙げられるのが、導入時にかかる初期費用の高さです。
数十万円から数百万円の投資が必要となるため、元を取るまでに時間がかかるケースもあります。
さらに、売電価格の下落が進んでおり、収益目的での導入メリットは年々薄れています。
また、太陽光発電は天候によって発電量が変動するため、収入が安定しづらいという側面も考えられるでしょう。
施工不良による雨漏りといったトラブルも実際に報告されており、業者選びを誤ると大きな損失につながるリスクもあります。
さらに、パネルの清掃や機器の点検など、性能維持のためのメンテナンス費用も継続的にかかる点が導入をためらう理由の一つとなっています。
まとめ|太陽光発電で元を取るには事前のシミュレーションが大切

太陽光発電の元を取るために「太陽光発電の販売価格」「ランニングコスト」「電気使用量」「売電価格」の4つの要素から、シミュレーションをして回収期間を把握しておきましょう。
とくに太陽光発電の販売価格は販売業者によって大きく異なるため、見積りを見て十分に考える必要があります。
また、少しでも費用の負担を減らすために、申請できる補助金も確認しておきましょう。
太陽光発電の検討をしている場合は、今回の記事を参考にしていただければ幸いです。
このテーマについて詳しく聞きたい方はこちら
LOHAS代表寺崎が発信する家づくりで知っていただきたいポイントを詳しく知りたい方はこちら
LOHASのことを詳しく知りたいことはこちら
LOHASのことがわかる動画
空間工房LOHAS代表 寺崎の歩んできた人生ムービー
空間工房LOHASのコンセプトムービー
LOHASが提唱する「気が行き交う家」

「理想の家を建てたはずなのに、住んでみたら何かが違う…」そんな後悔をしないために、大切なことを知っていますか?情報があふれる今、本当に必要なのは「家族を一つにする家」「家族がより良くなる家」をつくる視点。この書籍には、あなたが心から欲する家を実現する方法が書かれています。理想の家づくりの第一歩として、ぜひご覧ください。