パッシブハウスという省エネで快適な住宅をご存じでしょうか。ドイツで発祥した世界基準のエコ住宅です。パッシブハウスを建てるには、断熱性などの厳密な基準をクリアしなければいけません。
この記事では、次のことを解説します。
- どこのハウスメーカー、工務店なら施工可能なのか
- パッシブハウス建築の困難さ
パッシブハウスを検討中の方はどこに相談・依頼をすればいいかがわかります。
Contents
パッシブハウスを建てられるハウスメーカー・工務店とは?
ハウスメーカーで建築は困難
パッシブハウスは次の基準を満たす住宅が、パッシブハウスとなります。
・冷暖房負荷が各15kwh/m2以下
・一次エネルギー消費量が120kwh/m2以下
・気密性能として50Paの加圧時の漏気回数0.6回以下
上記の基準を満たすように、設計しなければいけません。パッシブハウス建築の経験がある個人・法人に計算・確認してもらうことが一番確実です。
上記の基準を満たすために、断熱性や気密性の高い素材を大量に使用します。
大手ハウスメーカーや規格住宅では、大量に同じ部材を使っていることがあります。土地や地域によっては、大きく設計を変更することはできないので、対応は難しい可能性が高いです。また、パッシブハウスは施工の難易度が高い住宅です。施工できる職人や、職人がいる工務店と提携がなければ難しいでしょう。
たとえ、フルオーダーでの注文住宅を建築するハウスメーカーでも、施工できる工務店に依頼できなければ建てることはできません。通常、ハウスメーカーは、契約のある工務店に依頼することが多いため難しいといえます。
しかし、パッシブハウス認定を受けたハウスメーカーもあります。株式会社一条工務店は、2021年に初めてパッシブハウスの認定を受けた住宅を建てました。パッシブハウス小田原モデル、といいます。設計段階から緻密な計算がされていたと考えられます。一条工務店のような大手住宅メーカーでも認定住宅を建築できたのは最近のことです(2022年10月17日時点)。
パッシブハウスを建てるにはパッシブハウスジャパンに登録認定された工務店でしか建築することができません。設計により厳しい数値をクリアし、高品質な施工技術を兼ね備えた世界基準のクオリティを実現できる工務店に依頼することをおすすめします。詳しくは以下のコラムも参考にしてください。
パッシブハウスとパッシブデザインの違い
パッシブハウスと共によく聞くのはパッシブデザインという言葉です。これは「自然のエネルギーを活用して家を心地よくする」という設計手法や概念のことです。
パッシブハウスは、あくまでも基準値を満たしている住宅になります。パッシブデザインは、次のことを家のデザインに取り入れ設計します。
断熱
日射遮蔽
通風
昼光利用
上記4つの点を考慮してデザインするのですが、難易度が高く、設計・施工担当者によっては技術的な面で設計できない可能性があります
パッシブハウスも基準値を満たすために、考え方の根本はほとんど同じです。パッシブデザインで建築する、という意味でもハウスメーカーでの建築は難しい可能性があります。
パッシブデザインの設計手法を実現するためには、「省エネ建築診断士」が在籍する工務店に設計を依頼するのが間違いありません。パッシブデザインの設計手法について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしてください。
パッシブハウス施工実績のある業者に依頼する
パッシブハウスジャパンのホームページに、施工実績のある工務店や設計事務所などの企業一覧が掲載されています。実際に施工したのかどうかの実績も掲載されていますので、依頼先を検討するときに非常に役に立つ情報源です。
パッシブハウスの建築には細かい計算が必要なため、専門の知識・経験が必要です。そのため、パッシブハウスの施工経験がある業者は十分に検討する余地があります。
パッシブハウスの認定工務店をまとめているパッシブハウスジャパンとは?
日本の風土に合うパッシブハウスを考える機関
一般社団法人パッシブハウスジャパンは2010年2月1日に設立されました。事務局は神奈川県にあります。日本の風土や気候に合う省エネ住宅を作り、地球環境や住環境を改善するために設立されました。
ドイツのパッシブハウス・インスティテュートの正式窓口です。ドイツ以外にも世界中のパッシブハウス機関と連携し、地球環境に配慮した快適な住まいの建築を目指しています。
パッシブハウスの完成現場見学会や、会員どうしの勉強会なども実施して、パッシブハウスについて学ぶ機会を作っています。
人材育成
パッシブハウスジャパンでは、省エネ住宅の設計を学習できるセミナーを開催しています。セミナー後の試験の合格者は、「省エネ建築診断士」の資格が取得できます。
2022年は、オンラインで2回開催されます。2回とも2日間セミナーがあり、その後に筆記試験・演習という形式です。
他にも「ステップアップ講座」があります。これは、省エネ建築診断士の有資格者が受講する講座です。内容は、一般的な戸建住宅のPHPPを入力できるようになるための集中講座です。
PHPPとは、パッシブ・ハウス・プランニング・パッケージの略称です。これは、建物のエネルギー収支を計算できるシステムです。これを戸建住宅を対象にして、入力できるようになるための講座です。3日間、オンラインZOOMで行います。
PHPPの入力ができるようになり、経験も積まなければパッシブハウスの基準値の計算は困難です。それほど難易度の高い建築です。
パッシブハウスジャパンは、省エネ建築診断士を誕生させ、育てるというかたちでパッシブハウス建築のために、人材育成も行っています。
パッシブハウスを建てるにはパッシブハウスジャパンに登録認定された工務店でしか建築することができません。設計により厳しい数値をクリアし、高品質な施工技術を兼ね備えた世界基準のクオリティを実現できる工務店に依頼することをおすすめします。詳しくは以下のコラムも参考にしてください。
パッシブハウスジャパンに認定されるための厳しい条件とは?
パッシブハウスになるための基準値について
前述したように、パッシブハウスに認定されるためには、下記の基準値を満たさなければいけません。
・冷暖房負荷が各15kwh/m2以下
・一次エネルギー消費量が120kwh/m2以下
・気密性能として50Paの加圧時の漏気回数0.6回以下
この基準がどれほど高いものか解説します。
「品確法における一戸建ての住宅の年間暖冷房負荷の基準値」によると、東京都などは、「断熱等級4」という年間冷暖房負荷の基準となっています。その基準値は、「127.8kWh/m2」です。
パッシブハウスの年間冷暖房負荷「15kWh/m2」という基準値が、非常に厳しい数字であるということがわかります。
次に断熱性能についてです。パッシブハウスは、通常の住宅に比べ倍以上の断熱性能があります。通常の戸建て住宅であればグラスウールの厚みは100〜150mm程度です。しかし、パッシブハウスの断熱性能を満たすためには、300mm以上の厚みが必要です。外壁の厚みが倍以上となるため、屋内の床面積についても慎重に計画しましょう。
建築地について
注文住宅によるフルオーダーの設計が必要です。基準値を満たすためには、土地探しから必要な場合もあります。建築地に制限はありません。しかし、パッシブハウスを建てるためには、日差しや風通しは基準値を満たす重要な要素です。場所によっては、建てられない場合もあります。
そして、設計段階から基準値を満たす住宅になるように計算していきます。そのため、中古物件のリフォームなどは、認定基準を満たすことは難しいです。
・窓の位置や大きさ
・リフォームしない住宅部分からの熱の出入り
上記の検討が必要なため、基準値をクリアするように設計することが困難です。
パッシブハウス認定への流れ
ここまで前述したように、基準値をクリアすることは難易度が高いことです。パッシブハウスジャパンに会員登録しており、施工実績がある企業に依頼することがおすすめです。
そして、基準値をクリアすると、施工したハウスメーカーや工務店が申請のために膨大な量の資料を作成します。それをパッシブハウスジャパンに郵送し、担当者がドイツのパッシブハウスに申請します。その申請が通って初めて、正式なパッシブハウス認定となります。
パッシブハウスは、さまざまな労力と時間をかけて完成できる家なのです。
パッシブハウス認定工務店が建てる「ローエナジービルディング」とは?
ローエナジービルディングとは、「建もの燃費ナビ」で年間暖房需要が30kWh以下になった建物のことです。
年間暖房需要が30kWh以下という意味は、パッシブハウスの倍の数値以下という意味です。倍の数値ではありますが、前述したとおり、東京都の数値は127.8kWhです。それを考慮すると、省エネに特化できている住宅です。
パッシブハウスよりも基準値が簡易になっている分、建築のハードルは低くなります。建築のハードルは低く、ちゃんとした省エネ住宅になっています。そのため、パッシブハウスは難しくてもローエナジービルディングなら検討できるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この住宅は、パッシブハウスジャパンのパッシブハウスオープンウィークスで見学できます。
これは全国にあるパッシブハウスと高性能住宅を見学できるイベントです。2022年は2月に開催されました。また来年開催されるかもしれませんので、検討中の方は実際の住宅見学をおすすめします。
弊社LOHASの施工事例が「エコハウス・アワード2022」ノミネート作品に選出されました!詳しくは以下のリンクでご確認いただけます。
まとめ
どうすればパッシブハウスを建てられるのか、その際の条件や困難さについて解説しました。
基準値を満たす設計・施工は難易度が高いため、施工実績のある企業に依頼しましょう。実績のある企業は、パッシブハウスジャパンのホームページで確認できます。
パッシブハウスは、省エネで快適な生活が長期間可能なため、新築戸建住宅を検討中の方におすすめです。
富士市・富士宮市周辺のパッシブハウスやパッシブデザインの住宅をご希望の場合は、パッシブハウスジャパン賛助会員である空間工房LOHASに是非ご相談ください。
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