2022年10月の法改正により住宅の断熱性能等級に6・7が新設され、家の断熱性が重要視されるようになりました。
新築を建てるなら高断熱の家にしたいと考える人の中には、基準が良くわからずどの断熱性能等級を選べばよいのか悩む人もいるでしょう。
断熱性能等級のそれぞれの特徴やメリットを知ると、マイホームに適した断熱性能が理解できます。
今回は、断熱性能等級の具体的な基準やメリット、注意点を紹介。
新築の断熱性能を高くしたいと考えている場合は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 断熱性能等級とは?
- 断熱性能を高くするメリット
- 省エネ住宅の断熱性能等級
Contents
断熱性能等級とは?
断熱等級は、住宅の断熱性能を等級で表したものです。
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で、定められています。
7段階の断熱等級とは
断熱等級は7段階あり、断熱性能が高ければ高いほど数字が大きくなります。
2022年までは断熱等級4が最高レベルで、2022年以降断熱等級5~7が設定されるようになりました。
カーボンニュートラルの実現に向けた動きにより、日本でも環境問題への意識が高まり断熱性能が求められるようになったことが大きな理由です。
<断熱等級一覧>
断熱等級(設定年度) | 内容 |
断熱等級7(2022年) | HEAT20 G1レベル |
断熱等級6(2022年) | HEAT20 G2レベル |
断熱等級5(2022年) | ZEH基準の断熱等級 長期優良住宅 |
断熱等級4(1999年) | 次世代省エネ基準 2022年までの最高断熱等級 |
断熱等級3(1992年) | 新省エネルギー基準 一定レベルの断熱性 |
断熱等級2(1989年) | 旧省エネルギー基準 冬はかなり寒い住宅 |
断熱等級1(1988年以前) | 無断熱 |
HEAT20とは「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の略称であり、快適に暮らすための断熱性能基準値のことです。
HEAT20の基準は国で定められた最低基準よりも厳しく設定されているため、断熱等級7は最高レベルの断熱性能と言えます。
断熱性能等級の基準を表す数値とは
断熱性能等級の基準を表す数値は、外皮平均熱貫流率(UA値)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)があります。
外皮平均熱貫流率(UA値) | 室内と外気の熱の出入りのしやすさを示す指標 |
冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値) | 太陽から住宅に入る日射熱の入りやすさを示す指標 |
断熱等級の基準は、住んでいる地域によって異なるのがポイントです。
国土交通省地域区分新旧表によると、日本を8つの地域区分に分けて基準が設けられています。
UA値が低いほど断熱性能は高く、寒冷地ほどUA値は低く設定されているためマイホームの建設予定地を確認しておくと良いでしょう。
参照:国土交通省地域区分新旧表
断熱性能等級それぞれの断熱材使用例
断熱等級の指標であるUA値は、断熱材の性能によって算出されます。
国土交通省のホームページでは、省エネ基準を満たすための断熱使用事例が紹介されています。
<断熱等級7地域6の断熱材仕様例>
天井 | 吹込み用グラスウール20k 210mm |
外壁 | 内側:高性能グラスウール20k 105mm 外側:フェノールフォーム100mm |
床 | 内側:フェノールフォーム100mm 外側:フェノールフォーム100mm |
参照:国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく 住宅性能表示制度におけるZEH水準を上回る等級について」
断熱性能を高くする5つのメリット
住宅の断熱性能を高くすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
住環境が良くなることや光熱費を削減できるなど、いくつかのメリットがあります。
ここからは、断熱性能を高くするメリットを5つご紹介します。
1.快適な住環境が実現できる
断熱性能が高いと、快適な住環境が実現できるのがメリットです。
断熱性能が高くなると、室内と外気の熱の出入りが少なくなるため外気の影響を受けにくくなります。
室内に外気が入りにくくなると、夏は涼しく、冬は暖かく家の中は快適な温度を保ちやすくなります。
断熱性能が高いと、エアコン使用を最小限にして過ごせるのもポイントです。
2.光熱費を削減できる
断熱性能が高いと、光熱費が削減できるのもメリットの一つです。
断熱性能が高いほど外気の影響を受けにくく、室内の温度を保ちやすく冷暖房効率を高められます。
エアコンの設定温度を最低限に使用時間を少なくできるため、光熱費の節約につながるでしょう。
3.ヒートショックや熱中症になりにくい
断熱性能を上げると、ヒートショックや熱中症になりにくいのもメリットです。
ヒートショックは、室内の温度変化により血圧が変動することで発生します。
熱中症は高温の部屋で過ごしていると、発症しやすくなります。
断熱性能の高い家は室内の温度を一定に保ちやすくなるため、ヒートショックや熱中症予防につながるでしょう。
4.健康改善が期待できる
断熱性の高い家は、健康改善が期待できるのもメリットになるでしょう。
高断熱の住宅は外気の影響を受けにくいため、室内環境を快適に保ちやすくなります。
過ごしやすい室内環境を作ると、家の中での活動時間が増加し生活習慣病の予防につながります。
5.補助金が交付される場合がある
断熱性能の高い家は、補助金が交付される場合があります。
国がすすめる2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの中で、断熱性能の高い「ZEH住宅」や「長期優良住宅」「低炭素住宅」などの省エネ住宅に関する補助金制度があります。
国や地方自治体によって補助金が異なるため、申請したい際は施工会社に相談すると良いでしょう。
断熱性能のメリットについて、以下の記事でも詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
断熱等級とは?省エネ住宅のメリットやデメリットについてパッシブハウスを建てる静岡の工務店が解説!
断熱性能等級を上げる際の3つの注意点
断熱性能を高めると、多くのメリットが得られますが注意点もあります。
高断熱の家の注意点は、早めに施工会社に相談して対策することで解決できます。
1.断熱性能等級を上げると建築費が高くなる
断熱性能等級を上げると、建築費が高くなります。
断熱性能を上げるには、断熱材のグレードを高くすることや厚みをもたせる必要があるため建材費用がかかるからです。
断熱性があると初期費用はかかりますが、エアコン使用を抑えて光熱費を削減でき、ランニングコストは少なくなります。
新築で断熱性能を高くする際は、建築費とランニングコストのバランスを考えて「長い目でどちらがお得か」を検討すると良いでしょう。
2.適切に換気する必要がある
断熱性能等級が高い家は、適切に換気する必要があるのも注意点です。
断熱性の高い家は気密性も高くなるため、室内の空気が新鮮な外気と交換しにいのがデメリットになります。
住宅の気密性が高いと湿気が溜まり、カビやダニが繁殖する原因になりかねません。
高断熱の家は、適切な換気計画を立てることが重要になるでしょう。
効率良く換気するために、風通しの良い窓の配置を検討することや換気システムを導入するのがおすすめです。
3.断熱性能等級が高いと施工品質を求められる
断熱性能等級が高いと、施工品質を求められます。
断熱性能を高くするには、断熱材料はもちろん気密処理や施工方法などの品質が重要だからです。
断熱性を上げるためには、断熱材を設置し端部や継ぎ目に気密処理を行う必要があります。
気密処理は職人さんの技術によって、品質が大きく異なります。
断熱性の施工品質を高めるには、実績のある施工会社を選ぶのがおすすめです。
省エネ住宅の断熱性能等級
省エネ住宅には長期優良住宅やZEH住宅、低炭素住宅などの認定住宅などがあり、それぞれ断熱性能の基準が定められています。
省エネ住宅に認定された場合は補助金や税制優遇を受けられるため、断熱性能をしっかり確認しましょう。
ここからは、省エネ住宅の断熱性能等級について解説します。
1.ZEH住宅と断熱性能等級の関係性
ZEH住宅は、高断熱高気密で効率の良い設備を導入した家のことです。
年間の一次エネルギー消費量の収支を、ゼロにするのが目的になります。
ZEH住宅は、断熱性能等級5以上の断熱性能が必要です。
ZEH住宅の特徴は断熱性能の高さと、再生可能エネルギーの活用によりエネルギー消費量を大幅に削減します。
断熱性能が高いことでエアコン使用も最低限に抑えられるため、光熱費もかかりにくいでしょう。
2.長期優良住宅と断熱性能等級の関係性
長期優良住宅は、住宅の品質確保と長期的に暮らせる家を促進するための住宅です。
国から長期優良住宅の認定を受けるためには、「断熱等級5」以上が必要になります。
断熱等級5以上にすることで、住宅の快適性や耐久性を高められ長く住める家になることが理由です。
長期優良住宅に認定された場合は、補助金申請や住宅ローン、固定資産税などの優遇を受けられるメリットがあります。
長期優良住宅の断熱等級について、以下の記事でも詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
長期優良住宅の断熱等級5とは?断熱等級制度やメリットについて解説
3.低炭素住宅と断熱性能等級の関係性
低炭素住宅は、二酸化炭素の排出を抑制する対策をとった環境に配慮した家です。
低炭素住宅に認定されるには、所轄行政庁から認定交付を受ける必要があります。
断熱性能も低炭素住宅の認定基準のひとつで、「断熱等級4」以上が求められます。
環境負荷の低減や光熱費の削減が、可能になるでしょう。
低炭素住宅の認定を受けると、補助金や税制優遇を受けられるのも魅力です。
【新築住宅実例】断熱等級7の快適な家
こちらは、一年中快適に暮らせる断熱等級7の空間工房「LOHAS」の施工事例です。
断熱等級7の家はエアコン使用を最小限に抑えられ、冬は暖かく夏は涼しい家になります。
近年、電気代高騰が続く中で、光熱費を抑えられるのは大きなメリットです。
断熱等級7により、冬でも結露しにくくカビによるアレルギーリスクも抑えられています。
リビング、浴室、ランドリー、洗濯物を干すウッドデッキ、クローゼットがつながるような間取りを作り家事動線がスムーズになりました。
内装は木をふんだんに使って、森林のような空間に。
断熱性能を高めたことで、人にも環境にもやさしいこだわりの家が完成しました。
まとめ|断熱性能等級を理解して快適な住宅を建てましょう
今回は、断熱等級の基準やメリットをご紹介しました。
住宅の断熱性能を高めると、冷暖房に使われる一次エネルギーを削減できます。
断熱性能等級を十分に理解して、快適に過ごせる家を建てることが大切です。
高断熱の住宅を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
空間工房LOHASは、高断熱の新築住宅の施工実績が豊富です。
断熱性の高い高性能住宅について相談したい方は、空間工房LOHASにお気軽にご相談ください。
著者情報
寺﨑幸治
空間工房LOHAS代表。「富士山のエネルギーを紡いだ木を活かし、家族の思い出を畳みこんで、住めば住むほど心身共に 健康になり子の代まで価値ある資産として住み継いで行ける、自然素材の家づくり」を平成17年から続けている。2022年現在建てた住宅は200棟以上。 輸入には頼らず、静岡県富士市にあり、地産地消で森を守りながら次世代まで永く住みつなぐ家を造る。
空間工房LOHASでは静岡・富士山嶺の気候風土を生かし、富士ひのきや天然素材にこだわった高性能で自然環境や住まう人に優しい家創りをしている工務店です。
また、世界基準の省エネ住宅「パッシブハウス」の賛助会員工務店として、静岡県東部で初のパッシブハウス認定住宅も建築しております。
施工事例はこちら→静岡県富士市│温めた熱を保つ、冷やした室温を保つ、断熱等級7の家
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