長期優良住宅を「建ててみて本当にメリットはあるの?」と疑問に感じる人はいるのではないでしょうか。
長期優良住宅は減税制度や住宅ローンの優遇制度があり、活用することで多くのメリットを得られます。
ただし、デメリットもあるのでメリットと見比べてから検討する必要があります。
今回の記事は長期優良住宅のメリット・デメリット、後悔を防ぐポイントをご紹介します。
「長期優良住宅を購入して得があるのか」と悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 長期優良住宅のメリット
- 長期優良住宅のデメリット
- 長期優良住宅の後悔を防ぐポイント
Contents
長期優良住宅の10のメリット
長期優良住宅の認定を受けると節税や補助金、低金利のローンが組めるなど多くのメリットがあります。
長期優良住宅のメリットを知ることで、建てるべきかどうかの判断が可能です。
ここからは、長期優良住宅のメリットをご紹介します。
メリット1:住宅ローン控除枠が増える
長期優良住宅は、住宅ローンの控除枠が増えるのが大きなメリットです。
住宅ローン減税は住宅ローンを借り入れて住宅の新築取得や増改築をした場合、年末のローン残高の0.7%を所得税から最大13年間控除される制度です。
一般住宅の場合控除対象の借り入れ限度額が4,000万円であるのに対し、長期優良住宅の場合最大4,500万円まで控除枠が増えます。
住宅ローンの控除枠が増えると、無理のない範囲でローンの返済計画を立てやすくなります。
メリット2:不動産取得税枠が増える
不動産所得税とは住宅を購入した際に、取得した人に対して課税される税金のことです。
長期優良住宅を購入すると、課税標準からの控除額が一般住宅特例より増額されます。
不動産所得税は一般住宅が1200万円の控除額であるのに対し、長期優良住宅は最大で1,300万円まで控除できます。
不動産所得税は一般的に、住宅が完成してから数か月後に納税通知が届くので忘れないように注意しましょう。
メリット3:登録免許税率が軽減される
登録免除税率とは住宅を購入した人が所有権を登記する手続きの際に、国に収める税金のことです。
登録免除税は「所有権保存登記」と「所有権移転登記」の二種類の登記手続きの際に税金を支払うことになります。
※登録免許税=固定資産税評価額×税率
新築で建物に固定資産税評価額が付けられていない場合は、法務局で認定した課税標準価格に税率を掛けた金額になります。
長期優良住宅は、登録免除税率が一般住宅特例よりも軽減されるのがメリットです。
<登録免許税の掛け率>
本則 | 一般住宅特例 | 長期優良住宅 | |
所有権保存登記 | 0.4% | 0.15% | 0.1% |
所有権移転登記 | 2.0% | 0.3% | 戸建て0.2% マンション0.1% |
メリット4:固定資産税の減額期間が長くなる
長期優良住宅は、固定資産税の減額期間が長くなるのも大きなメリットです。
新築住宅を建築した際に一般住宅の特例では、3年間は固定資産税が2分の1に減額されますが、長期優良住宅は5年間2分の1に減額されます。
メリット5:地震保険料が割引される
長期優良住宅は高い耐震性が求められるので、地震保険料割引があるのもメリットです。
地震大国と言われる日本では年々地震保険や火災保険料が高くなっているので、少しでも安くしたい人は長期優良住宅を検討してみましょう。
<耐震等級別地震保険の割引率>
耐震等級 | 割引率 |
耐震等級2 | 30% |
耐震等級3 | 50% |
メリット6:住宅ローンの金利が優遇される
長期優良住宅を取得すると、住宅ローン金利が優遇されます。
住宅金融支援機構と民間金融機関が共同で提供する住宅ローン【フラット35】Sプランで、金利引き下げを受けることが可能です。
住宅ローンの金利が引き下げられると費用負担が大幅に減りますが、金利は日本の経済状況や金融市場に影響されるため、金融機関のホームページなどで定期的に情報をチェックしましょう。
メリット7:住宅取得等資金贈与の非課税限度額が増える
長期優良住宅は、住宅取得等の資金贈与の非課税限度額が増額されるのがメリットです。
注文住宅を建築する際に両親などの親族から資金をもらう場合、一般住宅を建築すると500万円までが非課税限度額になるのに対し、長期優良住宅は1000万円まで、非課税限度額が増えます。
メリット8:「地域型住宅グリーン化事業」の補助金が使える
長期優良住宅は地域グリーン化事業の補助金が受けられるのがメリットです。
地域型住宅グリーン化事業とは、国土交通省の採択を受けたグループが「省エネルギー性」や「耐久性」などにすぐれた新築を建てた場合に交付されます。
ただし、2024年現時点では、地域型住宅クリーン化事業の詳細が発表されていません。
地域型住宅クリーン化事業の補助金制度の募集が行われているか、ホームページで定期的にチェックしましょう。
メリット9:一般住宅より高く売れる
長期優良住宅は長く住むことを前提に建築されているため、売却する際は一般住宅より高く売れるメリットがあります。
長期優良住宅の資産価値は高く、中古住宅であっても購入希望者は多いため、買い手が見つかりやすくなります。
メリット10:長く安全で快適な暮らしができる
長期優良住宅の大きなメリットは、その家に住む人が長く安全で快適な暮らしができることです。
劣化対策や災害対策が講じられていることにより、数世代に渡り安心して住み続けられます。
省エネルギー性も備えた長期優良住宅は冷暖房の使用を必要最低限にできるため、光熱費などのランニングコストが安くなります。
長期優良住宅の4つのデメリット
長期優良住宅は税制優遇や住宅ローン金利引き下げなど多くのメリットがあることがわかりました。
一方で長期優良住宅には、デメリットもあるので併せて解説します。
デメリット1:一般住宅より建築費が高くなる
長期優良住宅は耐震性や省エネルギー性能など高い性能を備えた住宅のため、一般住宅より建築費が高くなります。
長期優良住宅には、品質の良い材料を使用することや長期優良住宅に適した設計をするため費用がかかるからです。
ただし、長期優良住宅は断熱性や気密性が高く、冷暖房の使用を抑えられるため光熱費の負担を減らせます。
長期優良住宅は建築コストがかかりますが、長い目で見るとコストダウンができると言えます。
デメリット2:長期優良住宅の認定を受けるために時間や手数料がかかる
長期優良住宅の認定を受けるために、時間や手数料がかかるのがデメリットです。
長期優良住宅の認定には、住宅性能評価機関の審査と所轄行政庁の審査に合格する必要があります。
また、審査期間は数週間かかると言われているため、必要書類を早めに準備しなければなりません。
長期優良住宅の認定手続きには、住宅性能評価機関と所轄行政庁の審査料が必要な点も注意しておきましょう。
デメリット3:定期点検やメンテナンスが必要になる
長期優良住宅の認定を受けて建築した住宅は、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき、入居後に認定された定期点検やメンテナンスしなければなりません。
住宅は時間の経過とともに劣化するため、長期優良住宅を維持するための定期点検・メンテナンスは欠かせません。
メンテナンスをしないと、長期優良住宅の認定が取り消され、税金の特例措置や補助金などを受け取っていた場合は返還を求められるケースがあるので注意が必要です。
デメリット4:申請が許可される時間がかかる
長期優良住宅の申請手続きは、所轄行政庁に提出してから許可されるまで1週間~1か月かかると言われています。
申請が許可されるまでは工事に着手できないため、設計から住宅が完成するまでに時間がかかります。
認定されるまでの期間が長いと、経済市場によっては住宅ローンの金利変動が起こる可能性も。
長期優良住宅は、認定されるまでに時間がかかることを念頭に余裕をもって計画を立てましょう。
長期優良住宅の「税制」の条件
長期優良住宅はさまざまな減税を受けることが可能です。
ただし、減税を受けるには適用条件が細かく設定されているので十分に確認する必要があります。
住宅ローン控除の条件
長期優良住宅で住宅ローン控除の適用を受けるには、下記の条件をクリアする必要があります。
・省エネ基準に適合する
・省エネ基準以上適合の証明書
・住宅ローンの借入期間が10年以上
・住宅ローンの契約者自らが、長期優良住宅に入居
・床面積が50㎡以上
・店舗兼住宅の場合は、居住面積が全体の床面積の2分の1以上
・合計所得金額が2000万円以下の人が対象
・住宅の引き渡しまたは工事完了から、6か月以内に居住
また、住宅ローン減税の適用を受けるには、住宅に入居した翌年に確定申告する必要があります。
不動産取得税の減額条件
長期優良住宅の不動産所得税枠の増額の適用要件は、下記の項目に該当している必要があります。
・都道府県の条例で定めるところにより申告する
・床面積は、50㎡以上240㎡以下
・長期優良住宅の認定通知書を取得している
不動産所得税減税の適用申請は、自分で行う必要があります。
不動産所得税枠の増額申請の詳しい内容は、自治体に確認しましょう。
登録免許税の減率適用条件
長期優良住宅の登録免許税減率の適用要件は下記の項目に当てはまる必要があります。
・登記する人が主に居住する住宅である
・住宅の新築または取得から1年以内に登記
・登記する住宅の床面積は50㎡以上
・市町村が発行する「住宅用家屋証明書」を取得
・長期優良住宅の認定通知書を取得している
登録免許税の納税は、登記と一緒に司法書士へ依頼するのが一般的です。
固定資産税の減額条件
長期優良住宅の固定資産税減額を適用するには、下記の条件を満たす必要があります。
・長期優良住宅認定通知書または写しを添付して市町村に申告
・床面積が、50㎡以上280㎡以下
認定条件等は以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【2024年版】長期優良住宅の認定条件とは?申請方法や注意点も徹底解説
長期優良住宅は実際建ててみて得するのか?【結論:得をする】
長期優良住宅は建築費用が高く、建ててみて得をするのか疑問に思う人もいるでしょう。
長期優良住宅は住宅ローン減税や税制優遇、地震保険の割引や補助金を受けた場合は、費用負担が大幅に減ります。
長期優良住宅のさまざまなメリットから、建築コストがかかったとしても「長期優良住宅を建ててみて得をする」と言えます。
ただし、得をするためには、長期優良住宅を依頼する施工会社は実績のある会社にすることが重要です。
普段から性能の良い住宅を建てている施工会社に依頼すると、余計な費用や追加費用をかけなくても長期優良住宅の性能を満たせます。
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長期優良住宅の後悔を防ぐポイント
長期優良住宅はメリット・デメリット両方があり、住んでみて後悔しないかと心配になる人も多いのではないでしょうか。
ここからは、長期優良住宅の後悔を防ぐポイントをご紹介します。
1.工事着工前に申請する必要がある
長期優良住宅は工事着工前に、所轄行政庁に申請しなければなりません。
工事着工前に申請するのを忘れてしまうと、住宅が完成しても認定を受けられません。
長期優良住宅を建てる際は早めに施工会社に相談し、申請漏れのないように計画を立てましょう。
2.建築コストと節税費用を比較する
長期優良住宅は建築コストがかかりますが、さまざまな税制控除や優遇があります。
税制控除や優遇があるからと住宅の設備や間取りにこだわりすぎてしまうと、コストが予算に見合わなくなってしまうかもしれません。
建築コストと節税費用を比較して、建築費用が見合わない場合は削れる部分がないか検討しましょう。
3.補助金や税制優遇を複合的に検討する
長期優良住宅にはさまざまな補助金や税制優遇制度がありますが、とくに補助金は併用して使えるものと使えないものがあります。
補助金や税制優遇制度は、複合的に検討することをおすすめします。
制度に定められた適用条件を満たす長期優良住宅を計画しているか、施工会社に十分に確認しましょう。
4.メリット・デメリットを比較検討する
長期優良住宅にはメリット・デメリット両方があるため、メリットばかりを意識すると後悔してしまう可能性があります。
長期優良住宅は長い目で見ると経済的なメリットは大きくなりますが、建築コストが高いため予算を考えた家づくりをすることも重要です。
長期優良住宅を建てる際は、メリットとデメリットをしっかり把握した上で比較検討しましょう。
長期優良住宅を選定する際のヒントは、以下の記事でも詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
長期優良住宅は後悔すると言われる7つの理由|知っておくべきメリットやメンテナンスもご紹介
5.長期優良住宅が得意なハウスメーカーを選ぶ
長期優良住宅を計画する際は、実績の多い施工会社を選ぶことが大切です。
長期優良住宅が高い性能基準を満たしていたとしても、暮らしやすい間取りや工夫のある家でなければ快適とは言えません。
長期優良住宅を得意とするハウスメーカーや工務店に依頼することで、長く快適に生活できるアイデアを提案してくれます。
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まとめ|長期優良住宅はメリット・デメリットを両方把握して検討しましょう
長期優良住宅の建築においては、メリット・デメリット両方を把握して検討することが大切です。
長期優良住宅は環境問題やカーボンニュートラル実現に沿った家であり、今後も優遇が増える可能性があります。
長期優良住宅を建築した後も、日本の経済市場や政策の動向に注視しておくと良いでしょう。
長期優良住宅のメリットについて疑問に思っている方は、今回の記事を参考に検討してみてください。
著者情報
寺﨑幸治
空間工房LOHAS代表。「富士山のエネルギーを紡いだ木を活かし、家族の思い出を畳みこんで、住めば住むほど心身共に 健康になり子の代まで価値ある資産として住み継いで行ける、自然素材の家づくり」を平成17年から続けている。2022年現在建てた住宅は200棟以上。 輸入には頼らず、静岡県富士市にあり、地産地消で森を守りながら次世代まで永く住みつなぐ家を造る。
空間工房LOHASでは静岡・富士山嶺の気候風土を生かし、富士ひのきや天然素材にこだわった高性能で自然環境や住まう人に優しい家創りをしている工務店です。
また、世界基準の省エネ住宅「パッシブハウス」の賛助会員工務店として、静岡県東部で初のパッシブハウス認定住宅も建築しております。
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