平屋は設計の自由度が高く生活動線もスムーズなことから、幅広い世帯に人気の住宅です。
これから平屋を建てようと検討している人の中には「デメリットはないの?」「住んでみて後悔しない?」などの疑問を持つ人もいるでしょう。
平屋にはデメリットもありますが、解消方法を理解し、それを踏まえてプランニングすればメリットの多い住まいになります。
今回は平屋のデメリットを解消する方法やメリット、注意点をご紹介。
この記事を最後まで読むことで、平屋のメリット・デメリットを把握して理想の家づくりを実現できるでしょう。
後悔なく平屋を建てたい方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 平屋のデメリット
- 平屋のデメリットを解消するために考慮するポイント
- 平屋のメリット
Contents
平屋の5つのデメリット
最近人気が高まっている平屋は「2階建てと比べてデメリットはないのか」と考える人はいるのではないでしょうか。
平屋はデメリットを把握すると、早めに対策ができ快適な住まいになります。
まずは、平屋のデメリットを見ていきましょう。
広い土地を用意する必要がある
平屋のデメリットのひとつは、広い土地を用意する必要があることです。
平屋はワンフロアにすべての生活スペースを設けるため、2階建てと同じ床面積の平屋を建てるには、単純に2倍の敷地面積を確保しなければなりません。
また、土地のエリアによって建ぺい率が決められているため、土地いっぱいに家を建てられるわけではないことも理解しておきましょう。
建築費用が高くなりやすい
平屋は、建築費用が高くなりやすいのもデメリットになります。
平屋は同じ延べ床面積の2階建てに比べて土地に接する面積が多くなるため、工事費用の中でも高いと言われる「基礎工事費」がかかるからです。
また、平屋は2階建てに比べて屋根が広くなるため、その分コストが上がる傾向にあります。
平屋の新築費用について、以下の記事でも詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
防犯対策を行う必要がある
平屋は耐震性がありますが、プライバシーの確保や防犯面で注意する必要があります。
1階部分に生活スペースがある平屋は、周辺環境によっては通行人の視線が気になることもあるでしょう。
留守中に1階の窓から、外部の侵入者が入るリスクもあります。
防犯をするためには防犯カメラや目隠しを設置するなど、費用がかかることを把握しておきましょう。
水害時の対策を考える必要がある
平屋は、水害時の対策を考える必要があるのもデメリットです。
近年問題となっている台風や水害などの発生時、平屋は上階に避難する場所がありません。
平屋を建てる場合は土地のエリアのハザードマップを確認し、浸水対策を行う必要があります。
具体的な対策として、地盤面から床面までの高さを上げる、防水扉や止水板の設置などが挙げられるでしょう。
日当たりや風通しが悪くなる可能性がある
平屋は、日当たりや風通しが悪くなる可能性があります。
平屋は高さがないため、周辺の建物によっては自然光が入らなかったり、風通しが悪くなったりと影響を受けやすくなります。
平屋に中庭を作ることや高い位置に窓を設置するなどの対策方法がありますが、その分費用は高くなるでしょう。
平屋のデメリットを解消するためのポイント
平屋にはデメリットがいくつかありますが、早めに把握して対策することで解消できます。
ここからは、平屋のデメリットを解消するために考慮するポイントをご紹介します。
1.周辺環境の条件が良い土地選びをする
平屋は、周辺環境の条件が良い土地選びをすることがポイントです。
「土地の周りに高い建物はないか」「道路の交通量は多いか」「人通りは多いか」「ハザードマップは浸水想定区域ではないか」など事前に確認しておくことが重要です。
また、平屋を建てる際は、土地の形状にも注意しましょう。
細長い形の土地にすると、平屋はスムーズな生活動線が実現できない場合があります。
平屋の土地選びをする際は、妥協をせずに平屋に合った土地かどうかを見極めることが大切です。
2.延べ床面積を考えた間取りにする
平屋の建築価格を抑えるには、延べ床面積を考えた間取りにすると良いでしょう。
間仕切りをできるだけ少なくし廊下を作らないことで、延べ床面積が減るためコストダウンにつながります。
また、間仕切りを削減すると、建具や壁を設ける必要がないので費用負担が減るでしょう。
間仕切りを減らした平屋は開放的になるので、心地よい空間を実現できます。
3.シンプルなデザインにする
平屋は、シンプルなデザインにすると費用を抑えられます。
凹凸が多く複雑なデザインは、その分壁などの面積が広くなるため建材が高くなるからです。
また、デザインが複雑な工事をすると、手間が増えるため工事費も上がります。
平屋は長方形や正方形のシンプルな家の形状にすると、コストダウンにつながるでしょう。
4.外部から人が侵入しない工夫をする
平屋は外部から人が侵入しない工夫をすることで、デメリットを解消できるでしょう。
平屋の防犯を実施するには下記の方法が有効です。
- 防犯窓の設置
- センサーライトの設置
- 防犯カメラの設置
- フェンスや生垣などの目隠しを設置
- 面格子を設置
- 大きな窓に防犯シャッターを設置
- 防犯砂利を設置
防犯をするには、周辺環境を十分に調査することも重要です。
5.補助金を活用する
平屋は建築費用が高くなる傾向にありますが、補助金を活用すると負担が減るでしょう。
近年、国や地方自治体で、省エネ住宅に関係した住宅に補助金制度を用意するケースが増えてきました。
国による補助金として「子育てエコホーム支援事業」「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス補助事業」をご紹介します。
子育てエコホーム支援事業
子育てエコホーム支援事業は、子育て世帯・若者夫婦世帯が活用できます。
エコホーム支援事業者と契約し、省エネ性能の高い新築住宅の購入をした場合に補助金が交付される制度です。
物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯や若者夫婦世帯に、支援することが目的になります。
子育てエコホーム支援事業の対象要件
新築住宅や分譲住宅の購入は、子育て世帯または若者夫婦世帯が自ら居住するために取得する場合に限ります。
子育て世帯 | 申請時点において、2005年4月2日以降に出生した子を有する世帯 |
若者夫婦世帯 | 申請時点において夫婦であり、いずれかが1983年4月2日以降に生まれた世帯 |
また、子育てエコホーム支援事業は「長期優良住宅」「ZEH住宅」を建てる場合に、補助金が交付されます。
長期優良住宅・ZEH住宅の特徴
長期優良住宅 | 長期優良住宅は、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅 所管行政庁(都道府県、市町村等)にて認定を受けた住宅 ※2022年10月1日以降に所管行政庁に認定申請をしたもの、または登録住宅性能評価機関に「長期使用構造等の確認申請」をすることが条件。 |
ZEH住宅 | 強化外皮基準に適合し再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の消費量が削減される性能のある住宅。 ※ZEH、Nearly ZEH、ZEH ReadyまたはZEH Orientedに加え、令和4年10月1日以降に認定申請をした認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅。 |
子育てエコホーム支援事業を申請できる住宅の床面積は、50㎡以上240㎡以下が対象要件です。
土砂災害特別警戒区域または災害危険区域には、原則建てないことも要件になります。
土砂災害特別警戒区域または災害危険区域は、急傾斜地崩壊危険区域または地すべり防止区域と重複する区域に限ります。
子育てエコホーム支援事業の補助金額
子育てエコホーム支援事業は、住宅の種類によって補助金額が異なります。
住宅の種類 | 補助金額 |
長期優良住宅 | 100万円 ただし、下記の地域は50万円 ・市街化調整区域 ・土砂災害警戒区域または浸水想定区域 |
ZEH水準住宅 | 80万円 ただし、下記の地域は40万円 ・市街化調整区域 ・土砂災害警戒区域または浸水想定区域 |
参照:子育てエコホーム支援事業
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス補助事業
平屋を建てる際にZEH住宅にすると、申請できるのが「ZEH支援事業」です。
ZEH住宅に対して支援される補助金となりますが、条件を満たした「ZEH+」住宅や指定された設備を導入することにより補助額が加算されます。
ZEH住宅とはNet Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略であり、年間のエネルギー収支を実質的にゼロ以下にすることを目指した住宅になります。
ZEH支援事業の交付ポイントと補助金額
対象となる住宅 | 交付ポイント | 補助額 |
・『ZEH』 ・Nearly ZEH (寒冷地、低日射地域、多雪地域に限ります。) ・ZEH Oriented (都市部狭小地等の2階建て以上および多雪地域に限ります) | 1.戸建住宅における『ZEH』の定義を満たしていることが条件 2.SIIに登録されているZEHビルダー/プランナーが関与(建築、設計または販売)する住宅 | 55万円/戸 |
・『ZEH+』 ・Nearly ZEH+ (寒冷地、低日射地域、多雪地域に限ります。) | 1.戸建住宅における『ZEH』の定義を満たし、以下の(1)と(2)を満たすことが条件 (1)更なる省エネルギーの実現 (省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量削減) (2)以下の再生可能エネルギーの自家消費拡大措置のうち2つ以上を導入することが必要 ・外皮性能の更なる強化 ・高度エネルギーマネジメント ・電気自動車(PHV車を含む)を活用した、自家消費の拡大措置のための充電設備または充放電設備を設置 2.SIIに登録されているZEHビルダー/プランナーが関与(建築、設計または販売)する住宅が条件 | 100万円/戸 |
ZEH住宅をさらにハイグレード仕様にする場合、10~25万円の加算金が追加されます。
ハイグレード仕様とは熱等性能等級6以上の外皮性能かつ設計一次エネルギー消費量(再生可能エネルギーを除く)が、基準一次エネルギー消費量から30%以上削減した住宅のことです。
ZEH支援事業は追加設備を導入すると、さらに加算金が追加されます。
<ZEH追加設備加算金額>
追加補助対象設備 | 加算金額 |
蓄電システム | 上限20万円 |
直交集成板(CLT) | 定額90万円 |
地中熱ヒートポンプ・システム | 定額90万円 |
PVTシステム | 65万円、80万円、90万円 (注)方式、パネル面積により異なる |
液体集熱式太陽熱利用システム | 12万円、15万円 (注)パネル面積により異なる |
静岡県富士市の新築補助金について、以下の記事でも詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
【2024年版】静岡県富士市の新築購入で使える補助金・助成金一覧|申請方法や注意点も解説
平屋の7つのメリット
平屋はデメリットばかりでなく、メリットが多くあります。
平屋のメリット・デメリット両方を把握して、設計のプランニングをすると理想的なマイホームが実現できるでしょう。
ここからは、まず平屋のメリットをご紹介します。
1.生活動線がスムーズになる
平屋は居住空間がワンフロアにあるため、生活動線がスムーズです。
2階建ての場合洗濯物を干しに階段を昇る必要がありますが、平屋であれば横移動のみで洗濯が完了します。
平屋は設計の自由度が高くすべての部屋にも行きやすいため、掃除の手間もかかりません。
平屋は、コンパクトな空間で効率的に生活をしたい人におすすめです。
2.家族のコミュニケーションがとりやすい
平屋は、家族のコミュニケーションがとりやすいのもメリットです。
平屋の間仕切りを減らすと、余計な廊下を作らずLDKを中心に家族が顔を合わせる機会が増えます。
子供が成長しコミュニケーションをとる時間が少なくなってしまうなどの悩みも、解消できるでしょう。
平屋はプライベートを確保しながらも、家族と程よい距離をつくれるのが魅力です。
3.バリアフリー化しやすい
平屋は、バリアフリー化しやすいのもメリットのひとつです。
2階建ての場合は階段があるため、上下移動が必要になりバリアフリー化がしにくくなります。
一方、平屋は1階部分にすべての生活空間があるため、フラットな移動をするために段差をなくしバリアフリー化が可能になるでしょう。
平屋は、高齢の両親と暮らしたい人や将来を見越してバリアフリーにしたいと考えている人におすすめです。
4.耐震性に優れている
平屋は、耐震性に優れているのもメリットになります。
平屋は2階建てよりも高さがないため、構造的に安定しているからです。
地震の多い日本において、耐震性が優れていることは長く安心して住み続けられる大きなポイントになります。
また、平屋は1階の面積が広いため、風の影響を受けにくく台風にも強い構造になるでしょう。
5.間取りの自由度が高い
平屋は、間取りの自由度が高いのもメリットになるでしょう。
2階建てと違って1階が支える重量が軽いため、必要以上に柱や壁を作る必要がないからです。
大きな開口部や開放的な空間など、こだわりの家の形を実現できるでしょう。
平屋は縦の空間を活かしたロフトやスキップフロアを設置すると、よりおしゃれな空間がつくれます。
6.メンテナンス費用を抑えられる
平屋は、メンテナンス費用を抑えられるのも魅力です。
1階部分のみの家になるため、2階建てに比べてメンテナンスする面積が少ないからです。
メンテナンスの中でも外壁修繕工事は高額になりますが、平屋は外壁面積が少ないため材料費や工事費、足場代もコストダウンできるでしょう。
長く安心して暮らせる家に住むには、メンテナンス費用を考慮した家づくりも重要になります。
7.光熱費を抑えられる
平屋は、2階建てに比べて光熱費を抑えられるのもメリットです。
生活空間が1階部分のみになるため、冷暖房効率が良いからです。
冬場は暖かい空気が2階に上がってしまわないため、底冷えすることなく快適な室温を保てるでしょう。
平屋が向いている人の特徴
平屋はデメリットもありますが、設計の自由度やバリアフリー性が高く長く住める魅力的な住宅です。
平屋のメリット・デメリットを把握して、適切な対策をとれば住みやすい暮らしができるでしょう。
平屋にするか2階建てにするかを悩んでいる場合は、ライフスタイルや家族構成、どのような生活がしたいかを考える必要があります。
平屋が向いている人の特徴として、下記の内容が挙げられるでしょう。
- もともと広い土地を所有している人
- 自由なデザインでこだわりの家を建てたい人
- 家族との程よい距離感を保ちたい人
- 将来高齢者になった時も快適に暮らしたい人
- 安全性を重視したい人
- 耐震性の高い家に住みたい人
ただし、外からの視線が気になる人や今後家族が増える予定のある人は、2階建ての方が向いている場合があるでしょう。
【後悔しないために】平屋を建てる際の注意点
平屋は、ライフスタイルや家族構成に合わせた理想的な住まいを実現できます。
ただし、平屋を建てる際には注意点があります。
1.平屋の費用相場を知っておく
平屋は費用相場を知っておくことで、資金計画を立てやすくなります。
平屋の新築の費用相場は、一般的に坪単価60万円~80万円程です。
30坪の敷地面積の場合、1,800万円から2,400万円の予算が必要になるでしょう。
平屋の価格は住宅の間取りや設備、建材のグレードによっても左右されます。
平屋は2階建てに比べ建築費用は割高になりますが、メンテナンス費用や光熱費の節約ができるためランニングコストがかかりにくいのが特徴です。
建築費用だけではなく、ランニングコストを考えてプランニングすると良いでしょう。
2.長く暮らしていくことを見据えた設計にする
平屋は、長く暮らしていくことを見据えた設計にすることも大切です。
現在の生活や家族構成に合わせた家づくりだけではなく、将来も住みやすい住宅をプランニングしましょう。
子供が成長した時や独立した時などに合わせて、間取りに可変性を持たせると暮らしやすい家になるでしょう。
3.実績のある施工会社に依頼する
平屋は、実績のある施工会社に依頼することも重要です。
平屋の実績が少ない施工会社に依頼すると、家の機能性や間取り、建築費用などで後悔する場合があります。
経験豊富な施工会社であれば、生活スタイルに合わせたさまざまなプランを提案してくれるでしょう。
平屋に住みはじめてからも、アフターケアや保証について丁寧に対応してくれるのも良い点です。
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まとめ|平屋のメリット・デメリット両方を把握して検討しましょう
今回は平屋のデメリットを解消する方法やメリット、建てる際の注意点を解説しました。
平屋にはデメリットがあるものの、解消法やそれを上回るメリットがあるため、快適な住まいを実現できます。
平屋は設計の自由度が高く、間取りやデザインにこだわれば、デメリットを解消した理想的な家になるでしょう。
自分の理想に合った平屋を建てたい方は、ぜひこの記事を参考に検討してみてください。
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著者情報
寺﨑幸治
空間工房LOHAS代表。「富士山のエネルギーを紡いだ木を活かし、家族の思い出を畳みこんで、住めば住むほど心身共に 健康になり子の代まで価値ある資産として住み継いで行ける、自然素材の家づくり」を平成17年から続けている。2022年現在建てた住宅は200棟以上。 輸入には頼らず、静岡県富士市にあり、地産地消で森を守りながら次世代まで永く住みつなぐ家を造る。
空間工房LOHASでは静岡・富士山嶺の気候風土を生かし、富士ひのきや天然素材にこだわった高性能で自然環境や住まう人に優しい家創りをしている工務店です。
また、世界基準の省エネ住宅「パッシブハウス」の賛助会員工務店として、静岡県東部で初のパッシブハウス認定住宅も建築しております。
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