長く快適に暮らせる長期優良住宅ですが、点検の報告や義務があるなど、後悔すると言われる理由があります。
ただし、実際には税制の優遇措置や補助金を活用できるメリットもあるため、長期的に見て「長期優良住宅」はお得です。
今回の記事では、長期優良住宅で後悔すると言われる理由やメリットをご紹介します。
長期優良住宅を建てる前に後悔しないポイントや申請手順についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 長期優良住宅は後悔すると言われる理由
- 長期優良住宅のメリット
- 長期優良住宅を建てて後悔しないためのポイント
Contents
長期優良住宅とは?
長期優良住宅とは、国が定めた一定の基準を満たす住宅のことです。
この制度は2009年より施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいています。
長期優良住宅のおおまかな認定基準は、以下の通りです。
- 長期に使用するための構造および設備がある
- 一定面積以上の住戸面積がある
- 居住環境などへの配慮が行われている
- 自然災害への配慮が講じられている
- 維持保全の期間、方法を定めている
以下の記事でも詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください。
長期優良住宅は後悔すると言われる7つの理由
長期優良住宅が後悔するといわれる7つの理由は以下です。
- 建築スケジュールが長くなる
- 長期優良住宅の申請費用がかかる
- 新築住宅の設計が制限される
- 定期点検やメンテナンスが必要になる
- 工事途中でのプラン変更が難しくなる
- 家の中にある点検口が気になる
- 増改築やリフォームに許可が必要になる
それぞれ詳しく説明します。
建築スケジュールが長くなる
長期優良住宅の認定を受けるには、住宅性能評価機関の審査と所轄行政庁の審査を通る必要があります。
認定のための検査は数週間かかると言われており、認定されないと着工できません。
長期優良住宅の基準を満たす設計や申請するための書類の準備、審査期間を含めると、長期優良住宅の完成までには半年以上かかります。
建築スケジュールが長引くことが多い点については、あらかじめ理解しておきましょう。
長期優良住宅の申請費用がかかる
長期優良住宅の認定を受ける場合には、申請費用が必要です。
長期優良住宅の申請を自分で行う場合は5万円~8万円の申請費用ですが、ハウスメーカーや工務店に代行申請を依頼すると20万円~30万円ほどかかるケースもあります。
長期優良住宅の建築コストだけを考えておくと、申請費用によって予算オーバーになる可能性もあります。
長期優良住宅の申請費用を見落とすと、後悔したと感じる人もいるでしょう。
新築住宅の設計が制限される
長期優良住宅は認定基準を満たす必要があるため、住宅の設計が制限される場合もあります。
認定基準の中でも耐震性を高める「耐震等級3」を満たす間取りにするには、耐力壁や柱の配置が必要となり、自由に間取りを決められないケースが想定されるでしょう。
また、開放的な空間や仕切りのない間取りにこだわりたい人は、長期優良住宅の実現が難しいため、後悔する可能性があります。
定期点検やメンテナンスが必要になる
長期優良住宅は、維持保全管理計画を提出した上で認定を受けます。
長期優良住宅に入居後は認定された維持保全計画に従って、定期点検やメンテナンスをしなければなりません。
メンテナンスをしないと、長期優良住宅の認定が取り消され、税金の特例措置や補助金などを受け取っていた場合は返還を求められるケースもあります。
定期点検やメンテナンスをするためには、点検費用や修繕費用の支払いも発生します。
長期優良住宅はメンテナンスに定期的な支出がかかることで、後悔したと感じる人がいるでしょう。
工事途中でのプラン変更が難しくなる
長期優良住宅は施工計画の審査を受けてから、着工できます。
工事が始まってから設計プランを変更したい場合は、計画変更の手続きをしなければなりません。
着工後の計画変更の手続きは耐震性・省エネ性の計算や資料の再作成が必要になり、追加費用もかかります。
長期優良住宅は工事途中のプラン変更が難しくなるため、後悔したと感じる場合があります。
家の中にある点検口が気になる
木造住宅の長期優良住宅の認定を受けるには、劣化対策の一つとして床下・小屋裏に点検口を設置しなければなりません。
住宅の維持管理のために点検口が必要であり、間取りによってはいくつも取り付ける必要があります。
住宅のデザイン性を重視する場合は、多くの点検口があると気になるという人もいるでしょう。
増改築やリフォームに許可が必要になる
長期優良住宅は認定基準が定められているため、増改築やリフォームをしたい場合は改めて所轄行政庁に「長期優良住宅維持保全計画」の変更を申請しなければなりません。
所轄行政庁の許可を受けた後、増改築やリフォームの着工が可能になります。
ただし、軽微な工事の場合は許可を受ける必要がない場合もあります。
長期優良住宅は増改築やリフォームする際に、所轄行政庁に許可を取るのが手間と感じ、後悔する人がいるでしょう。
長期優良住宅の6つのメリット
ここからは、長期優良住宅のメリットをご紹介します。
長期優良住宅のメリット・デメリットについては、以下の記事でもまとめているのでぜひ参考にしてみてください。
資産価値が落ちにくいので一般住宅より高く売れる
長期優良住宅の認定基準を満たした住宅は、家の資産価値が下がりにくく、一般住宅より高く売れます。
耐震性が高く、劣化対策や居住環境も整っていること、さらに定期的な点検やメンテナンスを義務づけられているためです。
長期優良住宅の資産価値は高く、中古住宅であっても購入希望者は多く、買い手が見つかりやすくなります。
住宅ローン金利の優遇を受けられる
長期優良住宅を取得すると、住宅ローンの金利引き下げの優遇を受けられます。
住宅金融支援機構と民間金融機関が共同で提供する住宅ローン【フラット35】Sプランで、金利引き下げを受けることが可能です。
住宅ローンは長期にわたり家計の負担になる可能性があるため、住宅ローン金利の優遇は大きなメリットになります。
地震保険の割引を受けられる
耐震性が備わっている長期優良住宅は、地震保険の割引が受けられるのもメリットです。
「耐震等級割引」または「免震建築物割引」どちらかが適用されるのが一般的です。
長期優良住宅は耐震等級2以上をクリアしていなければならないため、割引率は30%以上になります。
<耐震等級別地震保険の割引率>
耐震等級 | 割引率 |
---|---|
耐震等級2 | 30% |
耐震等級3 | 50% |
利用できる補助金が増える
長期優良住宅は地域グリーン化事業の補助金を活用できる場合があります。
地域型住宅グリーン化事業とは、「省エネルギー性」や「耐久性」などに優れた新築を推進する事業です。
国土交通省の採択を受けたグループで長期優良住宅を建てる場合、一定の条件を満たせば補助金をもらえます。
ただし、2024年現時点では、地域型住宅グリーン化事業の詳細が発表されていません。
地域型住宅グリーン化事業の補助金制度のホームページで、定期的に募集内容をチェックしましょう。
家が長持ちする
長期優良住宅の認定基準を満たした家は、長持ちする家として国から認定されたことになります。
長期優良住宅は劣化対策や災害対策が講じられていることにより、数世代にわたり安心して住み続けられます。
維持保全計画に沿ってメンテナンスすることで、長く快適に暮らせるのも長期優良住宅のメリットです。
税控除の対象になる
長期優良住宅の認定を受けると、税の特例措置が受けられるのも大きなメリットです。
長期優良住宅の税制優遇は、下記の内容になります。
<長期優良住宅の税の特例措置>居住開始日:令和6年1月1日~令和7年12月31日
税の種類 | 税の特例措置 |
---|---|
所得税 | 控除限度額4,500万円~5,000万円 控除率0.7% 控除期間最大13年間 最大控除額409.5万円 |
投資型減税 | 標準的な性能強化費用相当額(45,300円に床面積を乗じて得た金額で上限は605万円)の10%相当額を、その年の所得税から控除できます。 ※住宅ローン減税との併用はできません。 |
登録免許税 | 新築・未入居の住宅は、所有権保存登記等にかかる税率が一般住宅特例より引き下げられます。 保存登記の税率が一般住宅の場合0.15%であるのに対し、長期優良住宅は0.1%です。 |
不動産所得税 | 一般住宅の控除額が1,200万円に対し、長期優良住宅は1,300万円となります。 |
固定資産税 | 固定資産税1/2の減税期間は一般住宅特例が1~3年間であるのに対し、長期優良住宅は1~5年間です。 |
固定資産税の特例措置は5年間(マンションなどの場合は7年間)の措置となり、6年目(マンションなどの場合は8年目)から固定資産税額が元に戻るので注意しましょう。
長期優良住宅で使える補助金・優遇制度についてはこちらも参考にしてください。
長期優良住宅を建てて後悔しないためのポイント
長期優良住宅には多くのメリットがありますが、建ててみて後悔する人もいます。
長期優良住宅を建てて後悔しないために、どのようなポイントを押さえればよいのでしょうか。
維持管理できるかどうか考える
長期優良住宅の入居後は、定期点検やメンテナンスをする義務があります。
点検やメンテナンスは、長期優良住宅の認定を受けた維持保全計画に基づいて行われるため、確実に維持管理ができるかどうかを考える必要があります。
長期優良住宅の維持保全期間は30年で、10年ごとの頻度で点検しなければなりません。
点検やメンテナンスの際は、記録を作成し保管する必要があり、所轄行政庁に報告を求められることもあります。
定期点検やメンテナンスを怠ると、長期優良住宅の認定が取り消されるケースもあります。
長期優良住宅の維持保全計画に無理がないか、チェックすると良いでしょう。
参照:国土交通省「長期優良住宅の認定を受けられたみなさまへ」
確定申告時に税金を控除申請する
長期優良住宅の建築後に住宅ローン控除や税制優遇を受ける場合は、確定申告で税金の控除申請をしましょう。
確定申告は原則として所得や控除が発生した翌年に行う必要があります。
確定申告しなければ減税効果を得られないため、忘れないように注意しましょう。
なお、認定住宅新築など特別税額控除の控除申請を行う際は、確定申告書に下記の必要書類を添付します。
- 認定住宅等新築等特別税額控除額の計算明細書
- 家屋の「登記事項証明書」などで床面積が50平方メートル以上であることを明らかにする書類
- 家屋の「工事請負契約書」または家屋の「売買契約書」の写しなど次の事項を明らかにする書類
- 都道府県または市区町村等の長期優良住宅建築等計画の「認定通知書」の写し
- 市区町村の「住宅用家屋証明書」(認定長期優良住宅に該当する旨などの記載があるもの)もしくはその写し、または建築士等が発行した「認定長期優良住宅建築証明書」
出典:国税庁「No.1221 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)」
確定申告に必要な書類は施工会社に確認し、早めに準備しましょう。
実績のある施工会社に依頼する
長期優良住宅の認定を受けるには、認定基準を満たす設計をしなければなりません。
長期優良住宅の認定基準を満たす家を確実に建築できる施工会社に依頼しましょう。
実績のある施工会社は、長期優良住宅の基準を満たす仕様はもちろん、施主の希望条件を取り入れた住宅を建築してくれます。
空間工房LOHASでは耐震性や劣化対策、省エネ性などにおいて高い基準をクリアし長期優良住宅の認定された家を何棟も建ててきました。
長期優良住宅のご相談は空間工房LOHASにお気軽にご連絡ください。
長期優良住宅の申請手順
長期優良住宅の申請手順は以下の通りです。
申請手順 | 申請内容 |
---|---|
技術的審査の依頼 | 長期優良住宅建築計画を策定し、申請に必要な書類を作成します |
確認書の交付 | 技術的審査を受けた場合、登録住宅性能評価機関から「長期使用構造等である旨の確認書」または「設計住宅性能評価書」が交付されます |
行政庁への認定申請 | 要書類を添えて、所管行政庁へ認定申請を行い、建築関係規定への適合審査を受けます |
認定通知書の交付 | 所管行政庁から認定通知書が交付されます |
長期優良住宅建築等計画の認定申請に先立って長期使用構造等であるか、確認を登録住宅性能評価機関が行っています。
長期優良住宅の取り消しの注意点
長期優良住宅の申請をすると取り消しはできないのだろうかと思う人もいるかもしれません。
長期優良住宅の申請を取り消すことは可能です。
管轄する都道府県や市区町村に認定の取り消しの申し出をすると、申請が取り消されます。
しかし、固定資産税の増額や受け取った補助金の返金などの要請を受ける可能性があるため注意が必要です。
長期優良住宅の詳しい申請方法や注意点についてはこちらの記事も参考にしてください。
まとめ|後悔しないためのポイントを押さえて長期優良住宅を建てましょう
長期優良住宅は後悔するという意見もありますが、多くのメリットがあり、長い目で見ると快適で暮らしやすい住まいになります。
長期優良住宅を建てて後悔しないためには、ポイントを押さえることが大切です。
長期優良住宅のメリット・デメリット両方を把握し、フラットな視点で比較検討するとよいでしょう。
長期優良住宅の申請を悩んでいる方は、今回の記事を参考にして満足のいく住宅を検討してみてください。
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著者情報
望月広巳
営業部部長。実際に家を建てる方が「暮らしを愉しむ」ために理想の暮らしをヒアリングしながら、個性やライフスタイルに合わせた設計の提案が得意です。自身でも普段の生活で日本酒やお料理、子育てを愉しむことを通してお客様に合ったプランをご提案できるように努めています。
空間工房LOHASでは静岡・富士山嶺の気候風土を生かし、富士ひのきや天然素材にこだわった高性能で自然環境や住まう人に優しい家創りをしている工務店です。
また、世界基準の省エネ住宅「パッシブハウス」の賛助会員工務店として、静岡県東部で初のパッシブハウス認定住宅も建築しております。
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