新築住宅を建築する時に、換気にも気をつける必要があります。
熱交換気システムを住まいに導入することで、室内の空気を新鮮で快適にできます。
今回は、省エネにもなる「第一種全熱交換気システム」とは？その仕組みやメリット、デメリットについて解説。ぜひ参考にしてみてください。
Contents
全熱交換気システムとは？
熱交換システムとは、屋外に排出する室内の空気から熱を回収し、その熱を屋外から新鮮な外気を室内に取り込む時（給気）に利用して、室内の温度を快適な温度にできる換気システムのことです。
たとえば、寒い冬の外の気温が0℃の時、熱交換システムを住宅に設置していないと、暖められた室内の空気はそのまま排出しますが、外気オンと同じ冷気を部屋に給気します。
そのため、室内は温度が下がり、暖房をつけないと部屋が寒くなるのです。
熱交換システムを住宅に導入すると、排気する暖かい空気の熱を屋外から給気する空気に移すことが可能。
給気される空気の温度は、外気より高くなり室内の温度が下がることはありません。
夏も同様に熱の交換ができるので、冷房により室内は快適な温度に保たれます。
「顕熱交換」と「全熱交換」の違い
熱交換システムには「顕熱交換」と「全熱交換」があります。
顕熱交換…温度のみを交換し、湿気はそのまま外へ排出される
全熱交換…温度と湿度を交換し、室内の温度と湿度を一定に保つ
2種類のシステムはそれぞれのよさがありますが、比較してみると、全熱交換気システムは湿気についての対策もできるので便利です。
全熱交換気システムは、室内の湿度も保てるので真冬の乾燥を防ぎ、じめじめとした雨の多い季節には湿度を快適に保てます。
この記事では、快適な住まいを実現できる「全熱交換気システム」について解説をしていきます。
全熱交換気システムはどんな仕組みで熱を交換するのか？
住宅で使われる全熱交換気システムは、第一種交換気システムの種類に入り、給排気を機械によって行う仕組みになります。
ダクト式とダクトレス式
第一種熱交換換気システムには、2種類の設置方法があり、「ダクト式」と「ダクトレス式」があります。
ダクト式…天井裏や床下にダクトを配管して設置し、換気システムの機械は壁掛けや天井の中に設置
ダクトレス式…換気システムの機械を建物の外壁に設置をするタイプで配管はない
ｈ3全熱交換気システムはどうやって熱交換するのか？
全熱交換気システムは、一般的に換気システムに内蔵されている熱交換素子で熱交換されます。
室内の空気が、熱交換素子を通って排出されるのと同時に、熱交換素子に熱を蓄える流れです。
蓄えられた熱交換素子の熱を外気が回収した状態で、室内に適温の空気を送り込みます。
24時間換気が必要な理由
建築基準法では、すべての建築物に24時間換気システムの設置が義務づけられています。
住宅の換気が不十分であると「シックハウス症候群」のリスクが上がり、カビや結露が発生する可能性も。
機械による換気を行い、室内を常にキレイで快適な環境にするのが重要です。
住宅に全熱交換気システムを導入する4つのメリット
住宅には、換気システムを義務づけられていることがわかりました。
全熱交換気システムを戸建の住宅に導入することで、温度も湿度も最適に保たれます。
ここからは、全熱交換気システムを導入するメリットを見ていきましょう。
メリット1：省エネになりコスト削減
24時間換気を義務づけられている住宅ですが、その換気による熱損失はかなりのロスだといわれています。
せっかく冷暖房をしたとしても、換気により空気を外に逃がしてしまうので、過ごしやすい室温にするためにはさらに冷暖房をしなければならないのです。
全熱交換気システムを住宅に設置すれば、外気は室温に近い温度で給気するので、冷暖房を無駄に使うことはありません。
そのため電力を必要以上に使用せず、省エネになるのです。
メリット2：結露を防止できる
全熱交換気システムは、室内の湿度も排出されるので、結露の発生を防止できます。
室内が結露すると、天井や壁、床などのカビや腐食、サビにつながるため家の耐久性を低下させる恐れも。
効率的に湿気対策ができる、全熱交換気システムは家の劣化を防ぐ目的にも有効です。
メリット3：室内の温度を一定に保てるので快適
全熱交換気システムは、室内の温度を一定に保てるので寒い冬も、暑い夏も快適に暮らせます。
戸建住宅で、冷暖房を必要以上に使用する必要がないので、光熱費を抑えられるのも良い点です。
全熱交換気システムは、湿度も一定に保てるのが魅力。洗濯物の室内干しも、乾きやすいです。
メリット4：屋外からの有害物質を室内に入れない
機械を使って空気を入れ替える全熱交換気システムは、一般的に花粉や黄砂、PM2.5などの有害物質を室内に取り込まない給気清浄フィルターが搭載されています。
家族は、いつもキレイな空気のお部屋で過ごせるのです。
住宅に全熱交換気システムを導入する際の3つのデメリット
全熱交換気システムは、効率よく換気をし、部屋の温度を一定に保てるのが特徴です。
一方で気をつけなければならないデメリットもあります。
デメリットは、販売の業者に確認することで対策が可能です。
全熱交換気システムの導入に不安をもっている人は、販売店のスタッフによく相談してから導入を考えましょう。
デメリット1：設置費用が高い
全熱交換気システムの大きなデメリットは、設置費用が高いことです。
本体や設置のための費用、配管工事などが含まれ、価格相場は100万円～300万円程。
熱交換器の商品の機種によって金額は異なります。
ただし初期費用はかかりますが、長い目で見ると光熱費の削減ができるため、収支を考慮して検討するのがおすすめです。
デメリット2：メンテナンスが必要
全熱交換気システムは、一度故障してしまうと空調が使えなくなってしまいます。
高性能を維持するためにもメンテナンスが必要です。
とくに、フィルターや熱交換素子が詰まると換気機能が大幅に低下します。
手間がかかりますが、清掃などの定期的なお手入れをして、性能が低下しないようにしましょう。
また、熱交換気システムの耐用年数は10年といわれています。
メーカーなどで一般的に用意されている保証に対応していないと、いざ故障した時に高額な修理費がかかってしまうことも。
全熱交換気システムを検討する際は、アフターのサービスや保証のサポートが可能な期間についても、販売店にしっかり確認しておきましょう。
デメリット3：設置場所を選ぶ
全熱交換気システムは設置場所を選ぶことにも注意が必要です。
室内に湿度を取り込んだり、外に出したりするため、湿気の多い場所には本体を設置できません。
全熱交換気システムを、強いにおいの出る屋外の場所に設置してしまうと、その影響で室内にもにおいが入ってきてしまいます。
設置する場所に悩む際は、家の設計の前に住宅の施工会社や販売店に問い合わせてください。
熱交換気システムを導入した未来の家「スマートハウス」とは？
スマートハウスとは、省エネ性能が高く、エネルギー需給が最適化された家のことです。
ITとEVの技術で電気を買わず賢く光熱費を削減し、快適な暮らしを実現できると今、期待されています。
具体的には「HEMS（Home Energy Management System：ホーム エネルギー マネジメント システム）」を導入することで、電気などの使用量を見える化し、効率よく住宅内設備の一括制御が可能。
スマートハウスでは第一種全熱交換気システムを導入した住まいを実現します。
省エネ効果の高いスマートハウスは、健康で快適な暮らしができる一般に向けた未来の家としてますます注目が集まっていくことでしょう。
空間工房LOHASのスマートハウス「LOHAS SMART」とは
空間工房LOHASでは、コロナ禍で変わった暮らしから、今までの家づくりでは大切な家族は守れないという考え方をコンセプトに、AVとEVで電気を買わない未来の木の家「LOHAS SMART」で家づくりを提案しています。
「LOHAS SMART」の約束のひとつに、健康を第一に考えた理想の温湿度と正圧の空気環境の項目があります。
健康を第一に考えた理想の温湿度と正圧の空気環境
気圧調整式第一種全熱交換気システム「エクリア（AIR CREAR）」を稼働させることで、給気する空気量が多く、排気される空気量が少ない「正圧」の空気環境を実現。
足元から天井まで、全室同じ温度、湿度で暮らせる快適な空間になります。
家じゅうの空気を、2時間に一回入れ替えることでコロナ禍でも安心です。
高気密、高断熱、省エネルギー性能を確保し、自家消費電力を極限まで抑えています。
→「LOHAS SMART」の詳しい情報はこちらのページより
気圧調整式第一種全熱交換気システム「エクリア」とは？
空間工房LOHASのスマートハウス「LOHAS SMART」で提案する、エクリア（AIR CREAR）は気圧調整式の第一種全熱交換気システムです。
大きな虫やゴミを遠心力で弾き飛ばす「サイクロン式給気フード」と、花粉や黄砂、PM2.5などの微細な汚れを約99%除去する「給気清浄フィルター」、家全体を「正圧」にする3種のシステムが搭載されています。
エクリアを導入することで、有害物質を住宅へ侵入させず快適な住まいを実現可能です。
家中の温度、湿度を計測し、住宅内を理想の温湿度に自動で逝去するIAQ（インドア・エア・クオリティ）機能により、住宅をヒートショックのないキレイな空気環境にします。
【施工事例】パッシブハウス(passivhouse) in 静岡,富士宮市
静岡県富士宮市にある、パッシブハウスを実現された施工実例です。
6畳用のエアコン1台で、年間を通して、快適で光熱費を抑えられる暮らしができる新築住宅が完成しました。
パッシブハウスとは、ドイツのファウスト博士という物理学者によってつくられた、省エネ住宅の世界基準といわれる家のこと。
パッシブハウスの基準は、以下の3つをクリアすることで認定されます。
1.暖房需要が15 kWh/m2以下であること、冷房と除湿需要が22 kWh/m2以下であること
2.気密性能は、50Paの加圧時の漏気回数が0.6回以下であること
3.一次エネルギー消費量（家電含む）が120kWh/m2以下であること
世界を挙げて、温暖化対策、CO2削減が求められる中、ヨーロッパでは新築住宅の省エネ性能がパッシブハウスクラスであることが求められています。
換気と空調は、全熱交換気「ZENDER」を採用。
一台で空気の質をまとめて整えられます。
光熱費を安く抑えながらも、自然の力を利用し環境に考慮したパッシブハウスは、これから未来のスタンダードな家になることでしょう。
［仕様］
延床面積：104.34㎡（約31.6坪）
屋根：瓦
外壁：ガルバリウム剛板＋そとん壁
床：富士山のひのき
サッシ：スマートウイン佐藤の窓
パッシブハウス認定基準 クリア
暖房需要 15kWh/(m²a)
年間冷房＆除湿需要 23kWh/(m²a)
50PA時の漏気回数 1/h ≤ 0.6
一次エネルギー消費量（PER）≤ 60kWh/(m²a)
C値（隙間相当面積） 0.15c㎡/㎡
換気・全館空調：ZENDER ヒートポンプ全熱交換型・全館空調エアコン
エコキュート460L
まとめ｜全熱交換気システムで快適で健康な暮らしを
今回は、全熱交換気システムについて、住宅に取り入れる時のメリット、デメリットについてご紹介しました。
全熱交換気システムは、電気代を抑えながらも室内が快適になり、健康的に暮らせる家を実現します。
全熱交換気システムを導入する際には、機器の選定、設置場所や配管の配置場所など、慎重に決める必要があります。
導入するにあたっては、システムの専門的知識が豊富で実績のある販売店を選びましょう。
これからの未来に向けたシステムである「全熱交換気システム」を検討していただけるとうれしいです。
著者情報
寺﨑幸治
空間工房LOHAS代表。「富士山のエネルギーを紡いだ木を活かし、家族の思い出を畳みこんで、住めば住むほど心身共に 健康になり子の代まで価値ある資産として住み継いで行ける、自然素材の家づくり」を平成17年から続けている。2022年現在建てた住宅は200棟以上。 輸入には頼らず、静岡県富士市にあり、地産地消で森を守りながら次世代まで永く住みつなぐ家を造る。
空間工房LOHASでは静岡・富士山嶺の気候風土を生かし、富士ひのきや天然素材にこだわった高性能で自然環境や住まう人に優しい家創りをしている工務店です。
また、世界基準の省エネ住宅「パッシブハウス」の賛助会員工務店として、静岡県東部で初のパッシブハウス認定住宅も建築しております。
施工事例はこちら→パッシブハウス(passivhouse) in 静岡,富士宮市
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